ヒッタイトの風と共に | ナノ


▼ 004

その日の夜


『悲鳴・・・?』

「マリアどうかした?」


起き上がったマリアを不思議そうに見る


『今悲鳴が・・・「・・・・・・・・かッ・・・・・・・・・・・ないのッ!?」ユーリさん?』


私はベッドから降り声が聞こえた方に走り出す

そうだティトがユーリを襲うのはユーリがカイルに引き取られてティトに出会った日ーーーつまり今日だ!
なんでこんな大事なことを私忘れて・・・!!

とにかくユーリを助けないと!!


「マリアッ!!」


カイルも裸足で出て行ってしまったマリアを追う


「マリア待つんだ!!」

「マリア様!?ーーーーカイル様も!!」


騒がしさで目が覚めたのかキックリとサラもやって来る



バンバンッ

「誰か・・・・!!」



マリア達がユーリのもとに辿り着くと
そこにはティトに馬乗りになられナイフを振りかざされそうになっているユーリがいた


『ユーリさんッ』

「きゃあぁぁぁぁぁ」


ビュッ
カイルがティトの手首すれすれを弓矢で傷つけナイフを離させる


「ティトなにをやっているんだ!!」


カイルがティトを止めようと抱えるがティトはユーリを殺そうとし続ける
しかたなしにドスッとカイルがティトの腹を殴ると黒い水を吐いた


「うぐっ・・・ゴホゴホッ」

「ティト?」

「カイルさま・・・」

「・・・・・・・・」


カイルは消えてしまった 黒い水を見る



「ゴホゴホッ」

『ユーリさん!』


マリアはユーリのもとに駆け寄り抱き起こす


『ユーリさんしっかりしてッ』


しかしユーリは気を失ってしまった


「キックリ、サラ他の者達が起きる前にユーリとティトを部屋に」

「「はい」」


キックリとサラが2人を連れて行く


「マリア」

『皇妃様がティト操ったのですね・・・』

「あぁ」


皇妃様ーーーーーまだ幼いティトを使うだなんて・・・・


『殿下ティトは・・・』

「大丈夫だ。幸いユーリは皇室の者ではない。ティトは死罪にはならないさ」



カイルはそう答えティトの心配をするマリアの肩を抱き寄せるのだった・・・













「っ・・・・あたし」

『目が覚めたのね』

「昨日ティトに・・・・・・・ティトはッ」


ユーリは##NAME1##の肩を掴んで問いかけていると


「ティトなら部屋で休んでいる」


そこにカイルが入ってきた


「よかった・・・・・」

「ユーリそなたはマリアの侍女としてここにいることになっている。だからティトは死罪にはならない。幸い気がついた者が私達を含めサラとキックリだけだったこともあるがな」

「も、もし・・・ティトが傷つけ、だのがマリアさんだったら・・・」

「ティトは処刑されていた」

「!!」

『貴女は怪我をしてしまったけれど2人とも無事でよかったわーーーーー傷は痛くない?』

「あ、あれ?痛くない・・・」

「当たり前だ。マリアが治癒能力を使ったのだからな」

「治癒、能力?」

『ふふ、私は怪我と毒なら治すことができるの。病気は無理だけれど・・・』

「すごい・・・なら、貴女も能力を」

『えぇ。私は水の力と治癒能力をね』

「水・・・はぁ。違う神官で現代に帰れればいいのに・・・」

『違う人でも同じくらいの能力者ならできるわよ?』

「え!?」

『私かーーーーー殿下なら』

「えぇ!?」


ユーリが驚きの目で2人を見た


「私が神官の位を持っていては悪いか?」

「わ、悪くなんてない!!それで私を帰せるの!?」

「結論だけ言うならできる」

『でも、還すにはこのハットゥサの街にある7つの泉が全てみちること。これは心配しなくても大丈夫よ』

「どうして?」

「今の季節、泉は暁の明星が東の空に輝くごとに満ちる。だからそれを待てばいい。それからもうひとつ……」

「もうひとつ?」

『貴女がここに来た時に着ていた服が必要なのよ』

「あの服はどうした?」

「えっと・・・・・そうだ!!大神殿よ!!あそこで着替えさせられてそのままだ!!」

「キックリ。服がどうなったかすぐに調べさせろ」

「はっ」

『殿下』


マリアが神妙な顔でカイルを見る


「あぁ。皇妃だ」

『皇妃様がユーリさんの服を返してくれるとは・・・』

「あぁ。だが皇妃はユーリが必ず取りに来るとわかっているはずだ」

「取りに行くわ」

「やたらにチョロチョロするんじゃない」



昨夜ので懲りてないのかという顔をした殿下が椅子から立ち上がり部屋を出ようとするユーリの服を掴んだ


「皇妃には魔力以外にも皇帝に次ぐ権力があるんだ。首を切り落とされたくなかったらここで大人しくしてろ」

「いーだ!!いじわる皇子!!」


ユーリの言葉を気にしたそぶりを見せることなくカイルはマリアの腰を抱いて部屋を出て行くのだった






その後ティトからカイルなら守ってくれると言われたユーリはカイルたちが出て行ってから少ししてこれまでのことを思い出し謝ろうと思い部屋を出た


ティトと共にカイルがいる部屋に入るとカイルは現代でいう窓にマリアはそんなカイルに寄り添うように床に座っていた


「ああ、ユーリか。ちょうどいい。今呼びにやろうと思っていたんだ。・・・お食べ」


カイルはユーリになつめのハチミツ漬けが入った器を渡す


「甘くて美味しい!」

「そうだろう。なつめのハチミツ漬けだ」

「でもこんなに食べたら太っちゃうよ」

「そのつもりで用意させた」

「!?」


ユーリはカイルの言葉に驚いた
年頃の女の子を太らせようとするなんて現代ならあり得ないことだ


「お前はヤセすぎだ。マリアのように細くても胸があるのならいいが・・・子供のうちはいいとして15・6の年頃になるまでにはせめてもう少し・・・いや、かなり大きくならねば」


カイルの言葉にギョッとした私は殿下の名前を呼んだ


『殿下!!』


カイルを止めるマリアの声が聞こえたがユーリは失礼なことばかり言うカイルにハチミツ漬けの器を投げた


「あたしは今年15だー!」

「!!!12・3かと思ってた」

「ぼ、ぼくも同じ歳くらいかと・・・」

「っとにすけべなんだから!マリアさんと比べないでくれる!?それにこんなトコに何年もいる気はないよ!」



ユーリは怒って部屋を出て行く



『殿下!何故あんなことを言ったのですか!!』

「いや、マリアも15だとは思わなかっただろう?」


そういう問題じゃない
原作を読んでいてもこれはないと思ったけど
まさか側室でもないユーリにいうなんて思わなかったからなつめを殿下が準備していても理由を聞かなかったのに


『だとしても女の子にあんなことを言うなんて!!』


カイルは怒る妻に笑みを浮かべる


『殿下!私は怒っているのですよ!?』


なんで笑っているんですか!!


「いや、マリアがそのように怒るのは珍しいのでな………わかった。もうあのようなことは言わない。愛しい妻に誓ってな」





そう言ってカイルはマリアにキスをするのだった








その日の夜カイルたちは報告を受けていた


「何!?ユーリの服は皇妃が持ち去ったと!?」

「はい・・・何人もの神官が見たと言っています」

「すぐ皇妃のところに・・・」

「だからまて」

皇妃のもとに行こうとするユーリをカイルが引き止める


「・・・夜は魔が強まる刻なんだ。やたらに動いてはいけない」

「でも皇子!!」

『殿下・・・』

「あぁ、これは皇妃のワナだ」

「!!」

「このことはわたしにも他人ごとではないのだ。お前の首が切られればわたしや他の皇子の命もないだろう。何か講ずる手段を考えるまでおとなしくしてるんだ」

「・・・わかった」


渋々返事をしたユーリだったが諦めたわけではなくみんなが寝静まったら皇妃のもとに行こうと決めていた

しかし

そのような考えをユーリがしていることなどカイルにはお見通しだったのかユーリの部屋にはカイルとマリアがいた



「なんで皇子とマリアさんがここにいるのよ!!」

「お前はマリアの侍女ということになっているのだ。マリアが起きている限りマリアの側で世話をするのが仮とはいえ侍女の仕事だ」

「なら!皇子は別にいなくてもいいでしょ!?」

「わたしがマリアといたいからな」

「どうせあたしが皇妃のところに行かないようにしてるんでしょ!!」

「わかっているならおとなしくしていろ。だが今日はここにずっといるからな」

「!!」

『ユーリさん。見張るためだけではないのよ?』

「マリアさん・・・」

『あなたとお話ししたかったの。ね?』


いいでしょ?ときくマリアにユーリはコクリと頷くしかなかった




だがカイルたちが来たのにはもうひとつ理由があった



それは皇妃から隠すことーーーーー
カイルは魔力で皇妃から隠したのだ





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