ヒッタイトの風と共に | ナノ


▼ 003


「キックリ!神事は終わりだ宮に帰るぞ」

「カイルさま・・・何ですか?・・・後ろにいる娘は?」


外で待っていたキックリの質問に殿下は私を戦車に乗せながら答える


「ナキア皇妃がまた何かろくでもないことを企んでるようだったのでかっさらってきた」

「・・・・・あなたは敵じゃないの?・・・皇妃とは敵対してるの?」


ユーリの質問に殿下はフッと笑った


「皇妃が世の中で一番邪魔に思う人間がわたしだろうよ」


4人を乗せた戦車が動き出す


「お前の話も聞きたいが話は宮についてから聞く。しっかりキックリに捕まっておくんだ」


ユーリにそう言ってから殿下は私を見た


『殿下。ユーリのことありがとうございます』

「なに、私はただ愛しい妻の涙を見たくなかっただけだ」

『ふふ』


嬉しそうに笑うマリアにカイルも笑みを浮かべた



戦車はそのままカイルの宮にたどり着きカイル達はカイルとマリアの寝室に向かう
正妃であるマリアにも部屋があるがカイルが別々に寝ることを禁止し2人の寝室が別に作られたのである



カイルとマリアはベッドに腰をかけユーリは質のいい上品な絨毯の上に座りキックリとサラはその後ろに立つ


「それで?・・・皇妃はお前を殺して何をするつもりだったのだ?」

「・・・・・・自分の息子を皇位につかせるために・・・他の皇子達を呪い殺すのに形代として血が必要だって・・・そう言ってました」

「!?」


マリアを抜かしたカイル達3人は驚いた

皇妃様・・・本当にジュダを王位につけるためにそのようなことを・・・
昔はお優しかったのに・・・


「・・・・・サラ」

「はい」

「ティトを呼んでくれるか」

「ティトをですか?」

「ティトを暫くユーリの世話係としたい」

「かしこまりました」


サラが部屋を出て行く


「キックリ」

「はい」

「イル・バーニを呼んでくれ」

「わかりました」


キックリが部屋を出て行くとマリアはユーリへ近づき目線を合わせるようにしゃがみ込んだ


『ユーリさん』

「はい・・・」

『1つだけ聞いてもいいかしら・・・あなたは日本の出身?』


ユーリが20世紀に生きる人間だとは知ってるけど殿下とユーリが会話をあまりしないから私が聞いた


「そうです!!あなたは日本を知ってるの?!なここはどこなのか教えて!!」

「ユーリ!マリアを離すんだ!!」


私の肩を掴んだユーリを見て殿下がこちらに来たけど私は顔を横に振って大丈夫と伝えた


『ここはヒッタイト。あなたが生きた時代だとトルコに当たる国よ』

「何それ・・・どういう」

『わかりやすく言うと古代ね』

「古代って・・・じゃあ」


誰だってこんなこと信じられるはずがない
私だって初めはそうだったんだから


『この時代にあなたの家族はいなし例えあなたが日本に行ったとしてもそこはあなたのいた日本ではなわ』

「そんな・・・・・どうして・・・・・」

『怖いく辛い思いをさせてしまってごめんなさい・・・・・でも必ず貴女を元の世界に帰すわ・・・必ず・・・』


ーーーーーこの人を責めてもどうしようもない・・・・・
それで状況が変わるわけではないし



「もう大丈夫です」

『ユーリさん・・・』

「必ず帰してくれるという貴女の言葉を信じます」

『ええ・・・約束するわ。そろそろティトが来ると思うから少し待ってーーー』

「カイル様ティトを連れて参りました」


サラが連れてきたティトが部屋に入ってくるとユーリは詠美とティトに駆け寄った


「男の子!?ごめんなさい妹に似てて・・・」

「僕ティトといいます。カイル様からユーリ様のお世話を言いつかりました」

「私の弟です。ティトに頼みにくいことは私におっしゃってください。ティト・・・お部屋に」

「うん。ユーリ様こちらです」


ユーリはティトに連れられ部屋を出て行った


「マリア様」

『・・・あ、ごめんなさい。どうかした?』

「いえ・・・お茶をお持ちしますか?」

『そうね。お願いできるかしら?』

「はい」



殿下とお二人分お持ちしますねとサラは部屋を出て行った


「マリア」


カイルがマリアを呼んだ名前がカイルの元へ行くとカイルはマリアの手を引き自身の膝に座らせる


「マリアが気にすることは何もない」

『殿下・・・・・・・』

「ユーリが帰るのには私も協力する。何も気に病む必要はない」

『上手くいくでしょうか・・。』

「きっと上手くいく」



マリアは安心したのかカイルの胸に頭を預けて目をつむる

これからのことを思ってーーーーーー



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