▼ 006
翌朝メンフィスの姉であり婚約者となったアイシスの出発を私たちは見送っていた
「ではメンフィス。ルクソールのカルナック神殿に祈りを捧げてまいります」
「姉上つがいなくお帰りを・・・私は都を築きます」
メンフィスはあっさりとした見送りをしてすぐに私たちに着いてくるように言った
「マリア、キャロルついてまいれ!!」
『「はい」』
昨日の今日ということもあり私たちは大人しくついてくとそこでは大勢の奴隷が都を築くために働いていた
「何をしている!!モタモタせずついてまいれ!!」
それっ引けい わー
そーれ わー
もっと力を入れて引けい わー わー
「このテーベの丘にエジプト最大の都を築くのだ!!この私メンフィス王の功績をオベリスクにピュロンに刻みこめー!!」
「メンフィス王。ヒッタイト王国のご使者です」
「陛下。我が国のミタムン王女が帰国するとの手紙が届いたきりお帰りがないのです」
「なに!!──────ご使者の方々王女は7日前急に挨拶なしで宮殿を出発された。こちらも驚いているのだが・・・もう一度帰国されて調査されてはいかがかな」
「ミタムン王女の手紙にはメンフィス王が王女の愛情をしりぞけアイシス様と結婚されるのを嘆いてあった。国王は烈火のごとく怒り殺せとのご命令だ」
ミタムン王女が失踪?
それって不味いんじゃ・・・と思いキャロルさんを見るとキャロルさんも同じ考えだったのか私の方を見ていた
それにこの世界にもヒッタイトはあるのね
私の第2の祖国であるヒッタイトが
ここは私が生きた時代より後?前?
前ならヒッタイトにはあまり関わらない方がいいわよね
万が一陛下達が生まれないなんてことになったら大変だもの
自分の思考の中に意識を持っていってた私はヒッタイト兵がメンフィスを憎そうに見ていたことそして入れ物を落としその中から猛毒を持つコブラが数匹出ていることに気が付かなかった
「ミヌーエこの場所は・・・マリア、キャロルしっかり押さえてろ!!」
『「!?(怒鳴ってばかり!!)」
「メンフィス様、アスワンの石切り場からオベリスクが到着しました!!」
やっとメンフィスから離れられた私とキャロルさんはホッと息をついた
「どうしてあんなに怒ってばっかりいられるのかしら!!」
とぷりぷりするキャロルさんち私は苦笑いをしたていると
「大変だ!!メンフィス様がコブラに噛まれた!!」
「医者を呼べー!」
「キズ口を切り取れ!!」
「兵士も2人やられた!」
と叫び声が聞こえてきた
コブラ───猛毒を持っていて下手したら死んでしまう
私は助けなきゃとメンフィスのもとへ駆け寄った
『どいてください!!』
「マリア!」
『毒を抜いて解毒をしないと・・・』
ミヌーエ将軍達が何か言っているけど私は無視をして治癒能力でメンフィスを治療する
「こ、これは・・・!?」
『メンフィスはこれで大丈夫です。他の兵士の方は?』
「こっちだ」
ミヌーエ将軍に案内してもらい兵士2人を診るとメンフィスより先に噛まれたのか2人ともメンフィスより毒が回っていた
急いで自分の治癒能力で治療をすると2人とも顔色が良くなったのを見て治療をやめた
「か、彼女は何者なのだ!?」
「ば、化け物だ!!」
「いや、違う!!見てみろ、あの方を・・・あれは、女神様だ!!」
「そうだ、女神様だ!!」
「女神様がエジプトに降り立った!!」
「女神様がメンフィス王をお助けになった!!」
こうしてマリアの知らないところで女神説が広まっていく
「マリアメンフィス様の容態を見てくれないか!!」
『わかりました』
ミヌーエ将軍に呼ばれマリアがメンフィスの看病をすること数日
「ん・・・頭が割れるように痛い・・・コブラに噛まれて」
「メンフィス様お気づきになったのですね!!助かったのです!?」
あ、体が動けぬ・・・が
コブラに噛まれて・・・
昔から助かったものはおらぬのに・・・
「マリアのおかげでございます!マリアのあの神の力のおかげでございます!!」
「なに!?マリアが!」
「マリアが三日三晩眠らずに・・・私どもやキャロルが変わると言っても変わらずにつきっきりでメンフィス様の看病を・・・」
そう言えば
苦しいときいつも
いつも目の前にマリアの白い顔があった・・・!!
『あ、メンフィス気がついたのね!良かったわ。身体はもう大丈夫?』
熱はないかしら?とメンフィスのおでこに触れようと手を伸ばしたらいきなり肩を掴まれた
ミヌーエ将軍がメンフィスを離そうとしてくれるけどメンフィスは本当に病み上がりなの?と疑うレベルの力で肩を掴んできた
「おお!!メンフィス!!」
「あ、姉上・・・帰られたのか」
「コブラに噛まれたのですって!!」
アイシスがメンフィスに話しかけた瞬間メンフィスの手から力が抜けた
もちろんその隙を逃さないわけが無い
サッとメンフィスから離れ私は部屋を出ていった
「おお、助かったのですね!!メンフィス、メンフィス。貴方にもしものことがあれば私も生きてはおりませぬ・・・神への私の祈りがききとどけられたのね」
「いや姉上・・・マリアが助けてくれたのです」
「え・・・」
「マリアが神の力で私を治療し
そしてその後寝ずの看病をしてくれたのです」
「アイシス様、マリアのおかげです」
ミヌーエもメンフィスの言葉に同意をした
熱にうなされて苦しかったときいつもマリアの顔と白い手があった・・・
はじめてだ・・・白い手をあんなに優しく思ったのは・・・
「さ、お休みにならなくては」
「ん・・・マリアを呼んでくれ」
アイシスはマリアを呼ぶようナフテラへ言うメンフィスに衝撃を受けそしてマリアとキャロルへ憎しみを覚えた
メンフィスがマリアを・・・許さぬ!!
はっ・・・もしや今にキャロルまでもが
許さぬ!!絶対に許さぬ!!
その頃マリアはキャロルと一緒にいた
「マリアったらどうしてメンフィスを助けたの?お人好しなんだから!!」
『ほっておけなかっただけよ』
そう・・・だだほっておけなかっただけ・・・それだけのはず───
prev / next