▼ 005
「さあ、こちらですよ」
ナフテラが通した部屋は豪華な部屋でまさかほんとにこの部屋を私に使えなんて言わないわよねと思いナフテラに聞く
『間違いではありませんか?私にこの部屋は・・・』
「いいえ。メンフィス様に言われた部屋はこの部屋でございます。それでは・・・」
案内を終えたナフテラはあっさりと部屋から出ていった
私が逃げると思わないの?
信頼してる訳ではないだろうしどこからか見張っているのかしら───
『何故こんなに豪華な部屋を私に与えたの・・・キャロルさんはどこの部屋なのかしら───』
黄金の置物に1人で使うには広すぎるであろうベッド
ヒッタイトで私が使っていた部屋だってかなり広かったけどそれよりも広い部屋
彼が何を考えているかのか全く分からない───
とにかく部屋を出ないとと扉を開ければやっぱり見張り役の兵がいた
「部屋を出てはなりません!!」
「そうです!!部屋を出ようとしたことがばれたら大変なことになります!!」
『でも、キャロルさんがどうしているのか気になって・・・』
「そ、それならばこのお部屋に来ていただいてはどうですか?」
少し申し訳なさそうに言えばまさかの兵士からの提案に私は少しだけ下に向けてた顔をパッと上げた
『それはできるのですか?』
「我々にお任せ下さい!」
「ですからどうかお部屋にいて下さい!」
『では、お願い致します』
30分程すると兵士は本当にキャロルさんを連れてきてくれた
「マリア!」
『キャロルさん!』
「マリア会えて良かったわ!でも、大変なのよ、もしかしたらもう帰れないかもしれないわ!!」
帰れない───私はどちらにしろ帰るも何も無いからいいけどキャロルさんは
「そうだわ##NAME1##、セチを探しに行きましょう!」
『でも、私この部屋から出られないのよ。部屋の前には兵士がいるし』
「大丈夫よ!ここは一階だから窓から出られるわ!」
『窓から・・・!?』
まさかの窓から出る発言にさすがの私も驚いた
1階とはいえども窓から出るなんて日本人の時もヒッタイト人として生を受けてからも1度もない
「さあ、行きましょう!気をつけてね」
『ええ』
キャロルさんに手伝ってもらいながらなんとか部屋を抜け出してセチを探しに行ってるとどこからか悲鳴のような声が聞こえた気がした
『今、悲鳴みたいな声が』
「気のせいじゃないかしら?」
『そうね』
私は知らなかったその悲鳴は気のせいではなく
アイシスにメンフィスが取られると危険視されメンフィスが呼んでいると騙され地下牢に閉じ込められたミタムン王女の悲鳴だったなんて
「セチはどこかしら・・・」
『セチさん!』
ようやく見つけたセチは酷い傷をおっていた
『酷い傷だわ・・・』
「セチ!無事だったのね!!」
「マリア!キャロル!」
『痛むでしょ───ごめんなさい、本当にごめんなさいセチさん・・・・・』
「マリア、僕は大丈夫。それにしても2人ともとても綺麗だ・・・」
絶対に大丈夫なんて嘘なのに明るい笑顔で言うセチさんに少し心が軽くなった
「セチ、絶対に助けるから待っていてね!!」
『セチさん食べ物です・・・必ず助けるわ』
助けるまでセチさんが飢えないように部屋に置いてあった果物を渡すとセチさんはありがとうとお礼を言ってからまた私たちの心配をした
「なあに、生まれた時から奴隷だもんなれてるさ。それより2人こそ気をつけて」
そろそろ戻らないとと立ち上がると後ろから声が聞こえ一瞬息が止まった
「やはりここにいたかマリア」
まさかこんなはやく見つかるだなんて
私たちが部屋を抜け出してからまだ30分程しか経ってないのに
「部屋から出てはならぬと申したのになぜここにいる。ここはそなたがいる場所ではない、そなたは私の側にはいればよいのだ!!」
『嫌よ!』
メンフィスが掴んだ私の腕を離そうとしてくれるけど男の力にキャロルさんが勝てる訳もなくメンフィスはどんどん力を込めていく
「マリアを離して!!」
「マリア!!」
牢屋からセチも私を心配している
私もメンフィスの手の中から腕を抜こうとするけど思いっきり握られてあまりの痛さに抜こうとするのをやめた
でもメンフィスはそんな私の反抗的な態度が気に入らないのか脅しかけてきた
「マリア、そなたが私の側にいないというならば少年だけでなくキャロルもムチを打って地下牢に閉じ込めるぞ・・・・・」
『やめて!!キャロルさんにもセチさんにも手を出さないで!!』
「ならば来い!!」
「マリア!!」
「キャロル、そなたもついてまいれ!!」
♪
![](http://img.mobilerz.net/img/j/9835.gif)
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音楽が奏でられている広間に連れてこられた私はメンフィスの横に座らされてい
───もちろん私の隣にはキャロルさんも
「さあ飲め」
『・・・私お酒は飲めないのです』
「私の酒が飲めぬというのか!!いいから飲め!!」
嘘では無いのにメンフィスは無理矢理お酒を飲ませてきた
『!?───ゴホゴホッ』
咳き込む私をメンフィスが愛おしそうに見てたなんて私は気づかなかった
いつもなら避けることくらい出来たのに
マリア本当に苦しいのか
よしよしかわいいやつだ・・・今宵私の相手をせい
『!?!?』
メンフィスの口付けに私は平手をかました
広間にバチーン!!という音が響いた
『何をするの!?私は奴隷ではないわ!それに私には夫だっているのよ!?』
「夫だ・・・・と?」
『そうよ!貴方とは違って優しくて人のことをしっかり考えられる、私の愛している人よ!!』
「許さぬ!許さぬぞ!!夫だと?!そやつを殺してくれるわ!!」
『彼は貴方に殺されるような人ではないわ』
そもそも時代が違うあなたが陛下を殺せるわけがないのだから
「マリア!!」
キャロルさんが私を庇うように私の前に出てきた
「メンフィス王を打つとは!!」
「なんと無礼な!!」
「死罪じゃ!!」
殺せ 殺せと広間がざわついたことで私は自分がしてしまったことに気がついた
メンフィスと言えども王を打ってしまったということに───
セチさんやキャロルさんを脅しに出す人が私のことを許すはずがない
せめてキャロルさんを現代に返すまでは生きてなきゃ行けないのに
「待て・・・しばらく待ってやる。だが宮殿から逃すな!!」
「はっ!!メンフィス王」
「マリア良かったわ・・・助かったのよ!!」
キャロルさんが嬉しそうに私に抱きついてくるけど私はまさか助かるなんて思わなくて驚きとともに動揺した
『キャロルさ・・・わ、私・・・』
「もう大丈夫よ。それにしても結婚していただなんて驚いたわ!」
『黙っていてごめんなさい・・・』
「気にしないわよ!」
それにしてもどうして私を助けたの───
なぜなのメンフィス・・・
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