Throughout the ages | ナノ


▼ 046

メンフィスはマリアを抱き上げ輿へ乗せた

「さあ急ぎ・・・・・ 宮殿へ」

『痛っ・・・』

「一刻も早く手当するのだ。ナフテラ頼むぞ」

「はい。医師の手配はいたしました。すぐに・・・」

「婚儀の最後の儀式だ。みなのもの仕留めたライオンを神殿へ運ぶぞ」


メンフィスが去っていきマリアたちだけになったのをアイシスの侍女であるアリはメンフィス王がご無事だったのはよかったがマリアが助かるとは・・・下エジプトじりじりとしながら待っているのにどうすればと鋭い目線を向けていた

そしてそんなアリに下エジプトの兵士も時間がないことを伝えアリは洞窟に隠した他のライオンにマリアを襲わせることにし今度こそマリアを・・・と呟いて去っていた


メンフィスが無事でよかった・・・
メンフィス・・・ 早く儀式を終わらせて・・・・・

でもさっきのでメンフィスはもう大丈夫
あとは自分の止血をしないと


「さ、こちらから早く宮殿へ・・・」



イズミル王子はいずれにおられるのか
それにしても先ほどの力・・・本当に治癒の力をお持ちだとは・・・
このことも王子へご報告しなければ



「マリア!!」

『キャロル!あなたも無事だったのね!』

「ナフテラがマリアは私が怪我をしたら悲しむから離れていましょうって」


私だって本当はマリアのそばにいたかったのに・・・とキャロルは言った
そんなキャロルに私はすこし申し訳なくなってしまった
さっきまで私はキャロルではなくメンフィスのことで頭がいっぱいで
キャロルの心配をしていなかった
今までたくさん助けてくれたキャロルを



『そうだったの・・・』

「ねえマリア。メンフィスのことが心配でたまらなかったのでしょ?なら私のことを気にできてなかったとしても私はなんとも思わないわ」

『キャロル・・・』

「それにしてもマリアの力はすごいわ!あんなに酷い傷だったのにもう塞がってるんだもの!」


でも痕は残ってしまったし完璧に治せたわけではないわ
服には血がついたままだしもしライオンが隠れてたりしたら大変だわ


「あーっ!!う、うしろ!イシスの娘!!」

『え、』


ルカの声で後ろを見るとそこにはライオンがいてグワーッこちらに飛びかかってきた
ルカとキョロルが助けてくれようとしているのが分かったけどあまりの激痛に私の意識はそこで途切れた


「イシスの娘っ」

「マリアっ!!!」


キャロルたちの悲鳴はす押し離れたところにいたメンフィスたちにも聞こえていた
メンフィスたちが助けようとするがライオンはマリアを咥えて走って行ってしまう


「マリアっ」

「な、なんとまだ近くに一頭潜んでいたのか!」

「マリアさまーーっ」

「あーっ!イシスの娘!」

「マリアさまっ」

「マリアーーーっ」

「イシスの娘!」


そして崖の方へ走っていくマリアを咥えたライオンに潜んでいたイズミル一行も気がついく


「おお、あれはイシスの娘!」

「あーっ!ライオンがっ」

「弓かせーっ」

「王子遠すぎます!」


イズミルはとにかくマリアを助けることしか頭になかった


「かせっ!!」


女神イシュタルよ・・・われに加護を・・・


「王子 仕損じたらイシスの姫にあたり・・・」


愛の女神イシュタルよ



「われに加護を・・・!」

「マリアーッ」


メンフィスの投げた槍とイズミルの射った弓が同時にライオンに当たりライオンが悲鳴を上げた拍子に口から離したマリアは落ちていった


「マリア いまいくぞ!」

「王!」

メンフィスに続きウナス等エジプトの兵もマリアを助けるため飛び降りた


「助けろ!」

「助けろっ」

「おれもいくぞ!」

「アルゴンさま やめて、やめて!」

「メンフィスさま!」

「王!」

「マリアーーーっ!」



穏やかだったはずのナイルはゴォォォォォ・・・・・と音を立てマリアをのみ込むように流れていく
幾世紀を超えて・・・20世紀へと・・・流れていく・・・




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