Throughout the ages | ナノ


▼ 044



おお・・・ライオン狩りだ・・・・・!
あれに見えるはイシスの娘!イシスの娘はつつがなくご無事の様子




「おお、よかった間に合った。イシスの娘を守らねば・・・」


下エジプトから戻ったルカは馬から降りマリアへ駆け寄った


「イシスの娘・・・」

『ルカ!まぁ、ルカどこへ行っていたの・・・最近はずっと私のそばにいるのに今日の日に・・・』

「申しわけございません イシスの姫・・・キャロルもご無事で・・・」


マリアの手を掴んでいたアルゴンはその様子を少し離れて見ていた


「チ・・・」

「アルゴンさま!」

「くそっ!うまく連れ出してやろうと思ったのに」



ガルルーーーーー

「メンフィス様ーーーーっ」


わーーーーー




『あ・・・・・・』


メンフィス・・・・・

おお、イシスの娘なんと・・・・美しい黄金の髪に王妃の衣装が太陽に映えてきはめく


『ここからではみえないわ・・・・・』


わが主君!!ヒッタイトのイズミル王子に相応しい花嫁
まもなくイズミル王子がこのテーベの都へ向かってこられる
それまで私はイシスの娘のそばについて離れまい



『そうだわルカお願い。メンフィスのそばに行って私の代わりにライオン狩りを見届けて』

「え!?」

『メンフィスの身に何事も起こらないようにそばにいて見守ってほしいの』

「イシスの娘、私は・・・・・」

『胸がさわぐの・・・ルカ、ルカお願いよ』

「でも私はマリアさまのおそばにいたいのです」


ルカがダメならやはり自分で行くしか・・・


『ルカ。なら私をメンフィスの見える場所へ連れて行って』

「わかりました。イシスの娘どうぞ・・・」

『・・・メンフィス・・・・・』


メンフィスが怪我をしたという知らせはないし今は大丈夫なはず
怪我なら治すことができるんだもの
はやくメンフィスのところへ行かないと・・・







わあああーーーー


「よしっ追い詰めたぞ!」

「メンフィス様ご用心ください!兵士が三人やられました!」


ガウルルル


「メンフィス様!」

「今度こそ逃がさぬ!こいっ」


ガーッ


「うぬっ」


バリッとライオンはメンフィスの剣をかみ砕いてしまう


「わぁっ剣を!メンフィス様っ」

「なんと・・・」

「あぶない!メンフィス様っ」

「王っ」


ガウッ


「寄るなーっ儀式はまだ終わらぬ!これはマリアを妃に迎える古来よりの儀式!わたし一人で仕留める手出しをするな、手出しはならぬぞ!」


この日を待っていたのだ


「槍をかせミヌーエ!」

「はい!」

「まずこの一頭アメン神に捧げるーーーーーこいっ」



そんなメンフィスたちを草むらに隠れて見つめるアリが企んでいることには誰も気が付かない・・・

ライオンでマリアを殺し狩りの上での事故死と見せることで誰が犯人かわからぬままメンフィス王は女王アイシスを花嫁に迎える・・・
そんな恐ろしいことを企んでいることには誰もーーーーー




ガウ・・・と鳴いてメンフィスへと走り出したライオンにメンフィスは槍を突き刺した


「えいーーっ」

グワゥ・・・・・






『はっ、あの声はルカはやく見てきて!』

「は・・・・・・」



わーーー!
わーーーーー!!

「仕留められたぞーっ」

「メンフィスさまが一頭見事に仕留められたぞ!」





『よかった・・・あと一頭・・・あと一頭・・・』



メンフィスを見るべく草むらの方へ来ていたマリアにアリはなんと好都合と思った


「お・・・うまい具合にこちらへ来たぞ。ライオンに薬は飲ませたか」

「先程」

「ふ・・・薬が効いてきたな。良いかこれがマリアのにおいだ」


アリはぐるるる・・・と鳴くライオンにマリアの服の匂いを嗅がせた


「後ろからマリアに近づき引き裂いて殺せ!」


さあ行け!とアリはライオンを檻から出した
ライオンはマリアと近づいていく・・・・・




『あと一頭・・・』


マリアの飲み物を持ってきた侍女がマリアとキャロルの後ろの草むらに隠れているライオンを見つけた


「ああああ・・・・・・・」

「どうしたのです?」


そんなナフテラの言葉に顔を青くしながら指を刺した


「あう・・・」

「ひっ」


ライオンはメンフィスが一頭仕留めたことに安堵しているマリアを狙っている


「マリア・・・・・!」

「ナフテラ様声をたてたらライオンが・・・」


ガルル・・・ふう・・・ ふう・・・ ふう・・・
グルル・・・



今の・・・・まさか・・・あっ


まさかと思い後ろを見るとそこには私のつけていたマントの裾を前足で踏んでいるライオンがいた


ラ・・・・・ライオン!



『た、助けて・・・』


助けて・・・・・動けば殺される
あ・・・助けてメンフィス
メンフィスーーーーーっ


ライオンは今にもマリアを食い殺さんとばかりにマリアの上に乗っていた


「あああ・・・」

「マリアッ」


ガウ・・・・・


「きゃあ・・・・・・イシスの娘が!」





そんな悲鳴がライオンを一頭仕留めたメンフィスとマリアに言われメンフィスの元へ来ていたルカの耳に届いた


「マリア!」

「イ、イシスの娘!」

「どうしたマリア!!」


先ほどライオンを仕留めた槍を手にとったメンフィスとルカは走った
2人が辿り着くとそこにはライオンに襲われているマリアの姿


「あああーっ!おのれこいつめ!マリアをはなせーっ」

「イシスの娘!」


ガーーーーーとメンフィスに槍で刺されたライオンが鳴く


「マリア!」


メンフィスはマリアからライオンを引き離し
自分はライオンと戦うべくマリアをルカに託した


「あぶない、イシスの姫!」

ガーーーーーと鳴くライオンを盾と剣で止める


「マリア逃げろーーーーーっ」

『メンフィス!!』


メンフィスが殺されてしまう・・・!!!
私のせいで・・・
メンフィスが・・・・・!!


そしてこれはアリたちの顔も青くさせた


「メンフィス王が!」

「しまった!!」


マリアを殺せと命じたライオンがよりによってメンフィス王を襲っている!よりによってメンフィス王をとアリも焦っていた
このままではマリアでなくメンフィス王が死んでしまうと


ガルル・・・
ガウ ガウッ


「くそうっ」


そして騒ぎに気がついたミヌーエたちも駆けつけた


「メンフィスさまっ」

「王!」

『メンフィスが殺される・・・・・メンフィスーーーーーっ。絶対に死なせないわ、死なせはしない!』


私がやらなくてわーーーーー
イシス・・・私に力を・・・・・


「あ、イシスの姫あぶない!」

『メンフィスーーっ』


おおっ なんとあの娘!


私は剣をライオンの左目に突き刺した

ギャーーーーーーーーー






その騒ぎはマリアのもとへ向かっていたイズミルの耳にも届いた



「どうしたのだ。あの騒ぎようは・・・・・」

「が・・・ライオン狩りの狩場らしらしい様子ですが・・・」


ライオンの狩場・・・
もしやイシスの娘の身に!






「マリア!」

「王!!」

「マリアーっ」

「イシスの娘ーっ」


イムホテップ、ルカ、ミヌーエ、ウナスその他の兵士たちがライオンに倒されているメンフィスとマリアを助けようと駆けつけた
そして他国・・・アッシリアの王であるアルゴンも助けるため駆けつけようとしていた


「アルゴン様なにを」

「うるさいっ あの娘を助ける!」



「イシスの娘ーーっ」

「マリア!」

「メンフィスさまっ」

「マリアをはなせーーーっ」

『メンフィスっ』

「くそおっこやつーーマリアをはなせーっ」


メンフィスにげて・・・ にげて・・・
死んでは嫌よ・・・メンフィス・・・・・
あなたは逃げて・・・・・


「おのれマリアをはなせーーーーーっ」


メンフィスあなたが危ない逃げて・・・


「わ、わっこっちからもライオンがきた!」

「血の匂いを嗅ぎつけてライオンが集まってきたぞーっ!」


メンフィス 貴方を守りたいと思ったのに・・・
逃げて 逃げて 逃げてぇ!


「マリアーっ」

メンフィスーっ 逃げて・・・・・・・





ーーー古代エジプトはーーー

祝賀の祭りから一変して混乱のるつぼと貸した・・・・・


・・・ナイルの水がゆれる・・・・・・・・・






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