Throughout the ages | ナノ


▼ 042

「そなたの人気はまことに 素晴らしいな」


私が王妃になったことの喜びを・・・
自分たちの心を私に知らせようとして口々に私に呼びかける・・・


「わたしたちのイシスの娘!王妃さま!」

「おめでとうございます!」


私はこのエジプトの王妃・・・
しっかりしなければ・・・


「お幸せに!聖なる娘!」


ありがとう
私良い王妃にならなければ・・・・・
このエジプトをこれからも栄えさせるために・・・
みんなの心に応えるように・・・努力しなくては・・・


「さあ、マリア 今日の最後の儀式だ」


最後の儀式?と言うことはまだ婚姻の儀式は終わってはいないのね


「川船に乗れ」

『船に?』

「船からみておれ。私はアメン神への婚儀の供物ライオンを狩る」

『え、ライオン狩りを?』


あ・・・そういえば日本人として生きていた頃番組か何かで古代のファラオは儀式にライオン狩りをしたとレリーフに書いてあるのを見た気が・・・まさか本当に!

私はメンフィスを止めようと声をかけようとしたけどどこかの国の使者が声をかけてきたため言うことはできなかった



「おめでとうございますエジプト王。お喜びを申しあげます」

「おお、バビロニアの使者たち」

「ビブルスでございます お喜びを」


バビロニア・・・本当に色々な国の使者が来ているのね・・・

バビロニアの使者と話しているメンフィスを見ていると私の手が誰かにガシッと掴まれた


『!?』

「わたしはアッシリアの使者でございます・お喜びを・・・」

『アッシリア?!』

「ふ・・・・・むそばで見ると、青い美しい目をしているし・・・愛らしい唇だな・・・ ふむ」

『な・・・』


エジプトの王であるメンフィスの妻となった私をそういう目で見るだなんて


「あ アルゴンさま!」


いまも十分な位美しいが、あと少し待てば・・・ ぐーーっと おれの好みの美人により近づくなあ


「ア アルゴンさま しっしっ!」

「しかしおれは、女王アイシスもみてみたい」


アッシリアは古代でもっとも獰猛な民族!
まさか・・・いいえいくらアッシリアと云どもエジプトへ愚かにも戦いを挑むなんてことはないはず・・・



この姫が ヒッタイトの王子も手に入れようと望んだイシスの姫か… おれも欲しいな



血みどろの戦士とよばれるアッシリア人・・・



「メンフィス王が炎のようになって 奪い返したという姫君・・・」

「女の様に美しい男… 子が孕めるのならばわが国の王の花嫁に・・・」

「少々危険だが、さらって帰っても損はないか」


ここにいるのは、古代の歴史の中で勇名をはせた国々の使者たち!
もしや今にもメンフィスの命を狙って・・・・・


『メンフィス、メンフィス!』

「どうしたマリア」

『メンフィス、お願いよライオン狩りなんかやめて!やめて、メンフィス!』


「ご婚儀の最後の儀式のライオン狩りがはじまるぞーーっ」

「ライオン狩りがはじまるそまっ」

「メンフィスさまが ライオン狩りをなさる!」



「アリさま」

「いよいよ ライオン狩りがはじまる、ぬかるでないぞ」




『メンフィス、お願いよメンフィス真剣にきいて!』


なぜ こんなにも心がさわぐの・・・
何かが起こる・・・そんな気がしてしかたがない・・・


『私心配でたまらないの!ねぇ、ライオン狩りをやめるわけにはいかないの?なにかが起こりそうで心配でたまらないよーーーねぇ、メンフィスお願いよ』

「マリア・・・・・ 愛いやつだ」

『メンフィス・・・』


お願いする私をメンフィスが抱きしめた


そなたがこうして・・・私の胸にすがる日を・・・どんなに・・・・待っていたか・・・・・この婚儀の日をどんなに待ったか!


『メンフィスお願いよ・・・震えが止まらないのよ・・・』

「案ずるな。そなたを妻に迎えたこのファラオの私がたかがライオンの1頭や2頭捕えられぬほど弱い男だと思うのか」

『だけど嫌な予感がするのよ・・・あなたが心配でたまらないのよ・・・』

「初めてだな・・・・そなたがこのように・・・・・身をすり寄せてわがままを言うのは・・・・ましてや私の身を案じて・・・・」

『メンフィス!お願いよあなたのことが心配で心配で今もまだふるえが止まらないのよ・・・儀式ということはわかっているはでもなんとかやめて!』

「マリア」

『どうして真剣に聞いてくれないの?!』


・・・・愛いやつだ・・・ わたしの妃よ・・・



「 そなたはやっと・・・わたしのものになったのだな・・・・・妃よ、あと数時間の辛抱だ。そなたが言わずとも今宵からはもうはなさぬ」

『いやよ!行かないでっ』

「ライオン狩りは強さを授かる聖なる儀式。エジプトを守るためにもそなたを守るためにも強くならねばならぬ。そなたのたっての望みとてやめることはできぬ」

『行かないでっ』

「マリア・・・・・」

『メンフィス!』


メンフィスは行かないでという私に安心しろとでもいうこのように口付けをした


よいか 今宵からはこの私の事しか考えられるようにしてやるぞ



「マリア見てるがよい。猛々しい二頭の雄ライオンを見事しとめたこの腕で・・・そなたを抱こうぞ!」

『待ってメンフィス!ねぇ、メンフィス』

「王、狩の用意が整いました」

『メンフィス!』

「ご案じなさるなマリア。王は何事にも優れたお方。瞬く間に2頭仕留められましょう。さあ船へ」


イムホテップはそういうけど何かが起こる・・・胸騒ぎがして・・・・・


「案ずるな今日の最後の儀式そなたのために見事はたそう!ーーーミヌーエ 兵士たちにライオンを狩り出すよう合図しろ」

「はい!」

「ウナス右から草原へはいるぞ」

「はっ メンフィスさま」



メンフィスはそう言って馬に乗りミヌーエたちと行ってしまった




「案じらるな大丈夫でございます」

『でもねイムホテップ・・・胸騒ぎがするのよ・・・』


イムホテップは船へと向かう私にそう言ってくれるけどメンフィスが心配で仕方がない・・・
船に乗ってしまったらメンフィスが万が一怪我をしてしまっても私は助けることができない


「案じられるな王はお強い・・・」


そう言って私の手を掴んだのはさっきも掴んできたアッシリアの使者だった


『はなしてください!』



なんとやわらかな膚(はだ)だ・・・





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