Throughout the ages | ナノ


▼ 041


神殿をでた私たちにイムホテップたちが近づいてきた


「おめでとうございます、心からお喜び申し上げますメンフィス王」

「おめでとうございます!」

「うむ!」

「エジプトの若き王妃われわれ臣下の者 心より・・・忠誠をお誓いいたします」

『イムホテップさん』

「どうかイムホテップとお呼びください」

『・・・・・イムホテップあなたの忠誠嬉しく思います。私も皆の想いに応えられるような王妃になれるよう頑張るわ』


私の言葉にイムホテップは嬉しそうにそして満足そうに微笑んだ



わー! わー!


「さあ、民は神殿の前でお待ちかねております おはやく国民の前に・・・」

『ええ』


あ・・・胸がふるえる・・・・・
私はメンフィスと共にこのエジプトを治める


アイシスさまのことが気がかりだったが・・・メンフィス王は今日この上もない良き王妃を迎えられわがエジプトは栄える


『夢を見ているようだわ・・・』

「どうしたしっかりいたせ。これは夢ではないそなたは私の妻となったのだ。さあ支えてやるもっとそばへ」

『ええ・・・ええ私はあなたの妻になった・・・でも夢を見ているようなのよ』

「マリア?この喜びの日になぜ泣く」

『ごめんなさい 私・・・』

「わたしの花嫁になるのが、それほどいやなのか」

『え?!いいえ、メンフィス。私は嬉しいのよ・・・あなたの妻になれたことが・・・』

「マリア・・・・・泣くな・・・」


わ、私の涙をくちびるで・・・
メンフィス・・・・・・メンフィス・・・


「だがこれからは他の者を思ことは許せぬ。今日からはそなはわたしの妃だ!よいか。わたしの事だけを思えば良い!その口から他の特に男の名など呼ばせはせぬぞ!」

『メンフィス・・・でも』

「うるさい!そなたは私の妻だ!」


メンフィスは勇猛でもって知られる古代のファラオ
その激情はとどまることを知らない
でもその中にも最近は優しさも溢れさせてくれている
彼とならきっと大丈夫だわ
きっと彼は素晴らしい王となる
私はそれを支え共に生きていくのよ


わーっ わーーーっ


「おーーい!婚儀が終わり、アメン神殿よりメンフィス王とイシスの娘がお出ましだぞ!」

「イシスの娘がお妃になって神殿より出てくるぞーーっ」

「はやく神殿へ!」

「神殿へ!」



それを見ている一行がーーー


「アリさま、テーベに着きました」

「神殿での婚儀は終わり・・・イシスの娘は妃となったか。つぎなる・・・最後の儀式はアメン神に捧げるライオン狩り・・・その儀式に紛れてマリアに近づき命をねらへ!よいな!」









その頃下エジプトでは



「テーベの都では・・・イシスの娘の婚儀が終わるころだな・・・」

「イズミル王子!」

「黄金の髪がエジプト王妃の衣装に映えて・・・・・いかばかりに美しかろう。廊下の様子に変わった動きは見えぬか。あの女王アイシスが婚儀の日に何事も謀らずおめおめと過ごすはずはないが・・・・・」

「は・・・今のところなにも」

「私が味方になると信じ・・・ 兵は油断して警備はまったく手薄になったな」

「はい。王子を鎖につなぎ安心しているのでしょう」

「番人は外で衛兵たちとたむろしております」



さて ルカはどのあたりまで行ったか
ライオン狩りに間に合うよう命じたが



「では王子!」

「うむ」


イズミルが結っていた髪をほどいくとそこからは鉄剣が出てきたーーー


「脱出するぞ!この鉄剣で青銅の鎖をはずせ」

「はっ 王子」

「そなたらはその窓から廊下に出て手筈通り武器を手に入れよ、あとの二人は兵をみはれ!ナイル河の城壁から砂漠へ出る」

「ですが格子が」

「忘れたのか!イシスの姫がわたしの部屋で折った方法でやれば簡単に青銅の格子は折れるではないか」


あの怪我をした体であのようなことをするとは思わなかったがとイズミルは思い出した


あのような方法で格子が壊れるとは思わなかったためマリアを最初は1人にもさせたが格子を壊されてからより頑丈な鉄の格子に変えるまでは決して1人にはさせなかった

今思えばあの時がもっとも幸せな時であった・・・



「あ・・・そうでした王子!」



賢く美しい娘よ・・・ 今日そなたはエジプトでもっとも貴重な存在となった
さて そなたを得るために脱出しよう



「いくぞっ!」





「ではわが軍の兵士は何名動かせるのか」

「は。全力をあげ密かに手配いたしましたが 今だ約二万五千」

「下エジプトのノモス(古代エジプトの州の都)へ行かせた使者たちは まだ帰らぬか!」

「は。まだ・・・帰りません」

「おそい!なにをしているのか!」

「メンフィス王はお若いが勇猛果敢なお方。王がただちに動かせる兵士は約三万・・・ましてイシスの娘が王妃となれば民の心は王へなびきます」

「ですがヒッタイトの王子を捕らえたのは上策です。計画どおりあのイズミル王子を利用されるとよい」

「ヒッタイトの兵士は戦に強くまたエジプトには産出しない鉄の加工法を知り・・・鉄の武器を完成させたと聞きました」

「うむ」


マリア。おお・・・メンフィスとの婚儀はどこまで進んだであろう・・・
この身が焼けつくように燃える・・・


「ひそかにマリアに近づいているアリは今どこに・・・」

「アイシスさま、アリは祝賀のなかにひそみイシスの娘に接近してお望みとおりにマリアの命を・・・」



アイシス達の会話を見張の兵を殺したイズミルはこっそりと聞いていた



・・・・・アイシスの胸の内 見抜いた通りだな・・・
受けた礼は・・・かならずいたすぞ
女王アイシス
イシスの娘を殺させはせぬ!





「王子こちらへ!」

「うむ、気取られてはおらぬか」

「はい。油断しておりますゆえ」

「手筈は整えましたこちらへ!」




ラクダに乗り出発したイズミルは指示を出す


「そのほうたち追っ手を引き付けヒッタイトへ帰りわたしの言葉を父に伝えよ。心して行けい!」

「しかと心得ました!王子もお気をつけて!」

「さて、急がねばならぬ」



イシスの娘を狙う者共を出しぬいてわが手に奪わねばならぬ
ルカはまだ テーベの都にはつかぬか!










その頃ルカも上エジプトへと急いでいた



「申し訳ありませぬ イズミル王子」




エジプトの歴代のファラオは王位継承権をもった女性との結婚によってその王位を得た!
エジプトに野心をいだく者!
これに気がつけばイシスの娘をつけねらう






イシスの娘を守らなけらば
どうかわたしがいくまで・・・何事も起こらぬように!
どうか・・・どうかわたしがいくまで・・・何事も起こらぬように・・・
心優しいイシスの娘よ・・・










馬車に乗るメンフィスとマリアに民たちは歓声をあげていた



「おめでとうございますメンフィス王!」

「おめでとうございます新しい王妃イシスの娘!」

「メンフィスさまーーっ」

「イシスの娘!」

「われわれのイシスの娘!」

「新しいエジプトの王妃さまーーっ」

「エジプトの聖なる妃イシスの娘!おめでとうございます!」



女神イシスの産みし娘・・・
わがデシエレトに恵みをもたらさん・・・



「聖なる王妃 イシスの娘!」

「メンフィスさまーーっ」

「おめでとうございます!」

「われわれのエジプトの王妃さまっ」

「イシスの娘おめでとうございます!」

「わたしたちのイシスの娘ーっ」



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