Throughout the ages | ナノ


▼ 039

ナフテラ達と話していた私は集まって来た人たの中に私を見ていることに気が付かなかった


「なんとーーーふしぎな力をもつイシスの娘よ。民の心をつかみ召し使いたちまで・・・イシスの娘のためなら命をなげだすぞ」

「カプター大神官」

「あのからだに今日、王位継承権を受ける」


あの黄金の娘がどの様に貴重なものとなるかを 何人が気づいておろうかとカプター大神官はふふふ・・・と怪しく笑った










「マリアアメン神殿へ出発の時刻だ」

『メンフィス』


さあ・・・と手を出されたメンフィスの手に自分の手をそっとのせた


「行くぞ!」

『メンフィスもう少しゆっくり歩いてちょうだい!』

「・・・・・」


メンフィスはギロっと私を睨んできた
少しでも気に入らないと不機嫌になるところはいつまで経っても変わらないのかもしれないと思いながらも
王としてはそういった部分も必要なのかもしれないと私が考えてるとメンフィスは歩く速度をゆっくりにしてくれた


「ふん!早くその身をわたしの妃にしなければ、すぐにすり抜けていきそうな気がして目が離せぬ」

『もうあなたから逃げたりなんかしないわ。朝言った言葉が私の気持ちなんですもの』

「ははは・・・逃がしはせぬ。今度万一にも逃げようとしてみろ。寝室にしばりつけ一歩も動けぬようにしてやるぞ」

『それはやりすぎなんじゃ・・・・・』

「それより、みろ宮殿の中は諸外国から来た祝賀の使者たちであふれている・・・ このエジプトを狙っている国々のやからだ」


想像していた人数よりはるかに多くの人に私は驚いた
ヒッタイトでの結婚式の時はまだ陛下が皇子時代でありここまでではなかったから

これが大国エジプトの力ということーーーーー



「マリアを見にきておるのだ」

『私を見にきている・・・』


エジプトの王の婚姻だからではなく私を見に?
・・・・・でもおかしいことではない
私はメンフィスにとって最初の妃
カイル陛下のように妃が私だけとなるかはわからないけどーーー
その私を見にきたのね・・・


「アメン神殿へ ご出発!」と兵の言葉が響き渡る・・・・





「ほほう、あれが噂にたかいイシスの娘」

「ふーむ 金色の髪」

「不思議な力を持つと聞いたが・・・どうであろう」

「あれがイシスの娘か!」

「それにしても美しい・・・」





「ふむ・・・あのような娘がいるとは知らなんだ。それにしてもあの金色の髪に青い瞳・・・誠に女神イシスの娘なのか?未来が読めて不思議な力を持ち民や召し使いからの忠誠心が強い。ふうむ・・・・・」




わー わーー
宮殿の外では民たちが喜びの歓声を上げていた


「メンフィスさまーーっ」

「イシスの娘ご婚儀おめでとうございます!」


外にはすでに馬車が準備されていてメンフェスが私の腰をグイッと抱き寄せ乗せた



「ははは・・・メンフィスさま、一刻も早くイシスの娘をお妃さまにしたがっていらっしゃるぞ!」

「むりもないよ、今日を待ちかねておられたんだからなあ」

「お幸せになってください、メンフィスさま!」

「イシスの娘は守り神だ」

「そうよ!」

「おれだって、あんな優しい方なら昼も夜もはなすもんじゃないさ」

「メンフィスさまーーっ われわれの守り神イシスの娘をしっかりつかまえて、はなさないでください!」

「うむ、そうしよう」


なんともすごいヤジだったけど嬉しそうにするメンフィスに私は何も言うことができなかった


「お幸せにーっ」

「出発!マリア。民がみているぞ」


メンフィスはピシーンッと鞭で馬を叩いて馬車を出発させた
けどわざとなのかかなりのスピードで馬車が走る
私は落ちないようにメンフィスにしがみついた


「そのまましっかりわたしに掴まっていないと落ちるぞ」


はは・・・とメンフィスは笑った
つまりわざとということだろう
わざとでなければスピードを落としてくれるはずだもの


ーーー生まれながら王者のメンフィス・・・
なんて立派にみえるのかしら・・・
秀でたひたい・・・
涼やかな・・・りんとした目・・・

私はいま メンフィスと結婚するために神殿へ行く・・・
私はこの古代エジプトで・・・
私の新しい人生を開こうとしている






「しっかし、なんちゅう人気じゃ。あの民の喜びようは・・・ふん、富めるエジプトか・・・なんとかイシスの娘とエジプト・・・手に入らぬかのう・・・」


マリアとメンフィスを見ていたアルゴンははて・・・と気がついた


「はて・・・これは妙だぞ」

「アルゴン様?」

「姉の女王アイシスの姿が見えぬようだ」

「神殿でございましょう」



ふうむ・・・今回の楽しみの一つは妖艶なる美女 女王アイシスを見ることであったが・・・・








ーーー下エジプトーーー




おお いまごろは・・・婚儀がはじまっているころ
メンフィス メンフィス 弟よ!
この手であなたを滅ぼすと決心したのに
なぜに このように体があつい・・・
苦しい炎が私をこがす!!



アイシスはイズミルのいる牢へと向かった


「イズミル王子!さあ、もう待てませぬ!すぐにヒッタイトの父王へ手紙をお書きなさい!」


私に一万の兵を貸すと・・・!!



「ふ・・・いまごろは・・・ メンフィス王の婚儀がはじまっておろう・・・・
女王アイシス」


イズミルにわかっていたことでわあるがメンフィスの婚儀のことを言われたアイシスは顔をお青くしイズミルへ大声で言った


「ーー!父王への手紙は書くのか!書きませぬのか!なんとか申されよ!ーーー返答によってはそなたの命・・・」

「書こう・・・・・」

「王子!」

「さあ・・・パピルスと筆を・・・・・美しい女性が取り乱すのを見るのは男として好まぬーー
さて、どう書けばよいのだ女王アイシス」

「一万の兵士を密かに国境を越えさせ・・・このわたくしに力を貸すと心にきめたと・・・」

「ーーわたしはまだ力を貸すとは申してはおらぬぞ」

「ほほほ・・・ だが あなたはわたくしの囚われ人。あなたの兵士がわたくしの兵士と共に戦い勝利を得なければあなたの命はありませぬ」



イズミル王子は油断がならぬ、私の心を見透かそうとしておる



「王子の鎖はといてはならぬ!」


と言ってアイシスはイズミルの書いた手紙を持って牢から出ていった


「王子!あのような手紙を!」

「ふふふ・・・父があの手紙を読めば私が囚われの身となったのを悟って激怒するだろう。わたしが女の命令などで動かぬ者と知っている」



愛おしい女の頼みなら別だが・・・




「なんだ?窓の外で気配がするーーーあ、あれは・・・・・ルカ!」

「王子!お助けに参りました」

「愚か者め!なぜにきた!私があれほどイシスの娘についておれと命じたではないか!」

「ですが王子が囚われの身となられたと聞き・・・」

「だまれ!このわたしが抜け出そうと思えば、そちの力など借りずとも部屋からの脱出する。即刻イシスの娘のもとへ帰れ!わからぬか、イシスの娘はメンフィス王との結婚によりその身に正式なる王位継承権を得る!どのように重大なことかわからぬか!」

「あーっ!」


イズミルの言葉でようやくルカは気がつき上エジプトへ戻るべく走った






エジプトの歴代のファラオは王位継承権をもった女性との結婚によってその王位を得た!
ただちに帰りイシスの娘の身を守れ!
このわたしが命じるまでは片時もそばをはなれるな!






イズミル王子申し訳ございません!この身にかえましても・・・
この身にかえましてもーーーかならずやイシスの娘をお守りいたします・・・!!





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