Throughout the ages | ナノ


▼ 037

そのころアラビア砂漠を抜けイズミル一行が
下エジプトへ入ろうとしていた


「やっと・・・かさなる難関をくぐり抜けホッとしたぞ。ここまで来れば一安心・・・しかしこれまた難所だな」

「はっ。イズミル王子ここは狩人もあまり通らぬ間道です」

「国境の警備が厳しく思わぬ手間をとった。ルカが案じておろう急ごう」

「はい!」


そんな一行に下エジプトの見張りの兵が気がついた


「ん!怪しいやつらだ」


そしてイズミル一行も


「む 何者かが上に王子!」

「あっ 何者かが上にいるぞ!」

「あーっ 王子!岩がッ」

「しまった」

「ギャーーーッ」


イズミル達のいるところに岩が落ちてくる



「ああっ!王子 前後の道がふさがれました」

「こんな所まで警備兵が潜んでいたのか!」

「岩がギャーッ」

「かけぬけろ!かけぬけろ!」


しかしそんなイズミル達をエジプト兵が許すはずもなく捕えようとイズミル達を取り囲んだ


「怪しいヤツらだ捕らえろ!」

「捕らえろ!」

「王子、まわりを囲まれました、なんとか囲みをやぶって・・・」

「うぬ、けちらせい!一気にけちらせい!」


その言葉でエジプト兵達は気がついたーーーーー目の前にいるのがヒッタイトの王子であることを


「なに、王子だと?」

「おおなんと、ヒッタイトの王子だ!」

「捕らえろ!逃がすな!」

「ヒッタイトの王子がいるぞ!」

「王子だ!」

「捕らえろーーっ」


しまった!こちらは、あまりに少数!
囲みを破ることができぬ 無念!
急ぐあまり注意を怠った、この私としたことが・・・!











「アイシスさま!」

「アイシスさま、間道でヒッタイトの王子を捕らえましたアイシスさま!」

「な なに!ヒッタイトの王子を!それはまことか」

「はい、すぐ地下牢へおいでを」



なんと 宿敵ヒッタイトのイズミル王子を!



「王子はまたもや何事かを企みこのエジプトへ潜入してきたのか」

「アイシスさま、あれに」

「ん・・・」



お・・・・・・おお・・・・・ まぎれもない!



「そなたはたしかにイズミル王子。なんと・・・まあ・・・」



賢い王子と世に名高い・・・ イズミル王子が



「ほほほほ・・・・・これはこれは、イズミル王子ようこそエジプトへいらせられた。なんと、捕えられ無様にも鎖につながれて」

「女王アイシス」

「・・・・・・」

「ほほほ・・・王子。鎖につながれた心地はいかがなものでしょう」


ほほ・・・と笑うアイシスに兵が剣を渡す


「このエジプトにまたもや災いをもたらそうと手相わまいりませぬ。そなたは死罪。なれど安心なさるがよい、死体はヒッタイトへ送り返してさしあげましょう」

「・・・・・・・」

「なんとか申されませっ。さあ、どうなされた」


アイシスは黙ったままのイズミルの腕へ剣を刺した


「あ、やめろ アイシス!」

「ほほほ・・・落ち着きはらったその顔を、いまに血まみれさせましょう」

「このお返しはかならずするぞ、女王アイシス」


そんなイズミルにアイシスは強がりとでも思ったのか笑った


「まあ ほほほ・・・なんとまだわたくしに憎まれ口を」


そんなアイシスにアリが駆け寄る


「アイシスさま、アイシスさま!いま上エジプトより鳩がこの手紙を」

「なに!?」


手紙を読みマリアの暗殺が失敗に終わったことを知りアイシスの顔が強張るのをイズミルは静かに見ていた


マリアの命を奪うこともままならず

おおメンフィス
あなたはマリアを妃に迎えてエジプトを治める

あなたがあくまで私を拒否するなら私はあなたを滅ぼしこのエコプトの女王になりましょう!!




「・・・イズミル王子、あなたと取り引きがしたい。あなたの命を助けましょう。条件はわたくしに力をかしてほしい」

「力?」

「あなたの一万の兵士をかりたい」

「なに!?兵力を」

「下エジプトには兵士が足りぬ。この取り引きのまねば あなたを殺し死体をヒッタイトに送りましょう。生きるか!鎖につながれて無様に死ぬか!イズミル王子ようく、お考えなさるがよい」



なんと・・・!!


アイシス達が出ていったのを確認しイズミルたちは話す


「王子!」

「王子!!」

「うむ・・・」


女王アイシス 内乱を企む気か・・・
愚かなことを・・・




「王子!」

「イシスの娘は、エジプトの女神イシスの娘」



神の娘であるイシスの娘がメンフィスと結婚すれば
イシスの娘は正式なる王位継承権を得る



「女王は気づいておらぬのか」



そうなればメンフィス王が殺されようと女王アイシスが足掻こうと正式なる王位継承権はイシスの娘のものとなる

イシスの娘を手に入れた者 名実とともにエジプトの王者となる!
内乱の気配がみえればエジプトを狙う 諸外国はうごめき出すぞ



「ふふふ・・・イシスの娘よメンフィス王と婚儀をあげるがよい。新婚の夢覚めやらぬ時わたしはそなたを腕に抱こう!」



ふふふ・・・・・はははははは・・・・・とイズミルの笑ごえが下エジプトの牢屋に響き渡る・・・




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