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「マリア」
あなたは・・・?
「私はエジプトの女神イシス・・・」
イシス・・・
「我が娘マリアそなたの魂に私の加護があるのだ・・・」
イシスの加護が私に・・・?
ですが私はヒッタイト人
イシスの加護があるなてありえませんわ
「其方のことはずっと前から知っている」
ずっと前?
「(其方がヒッタイトへくる前から知っている・・・いつかわがエジプトへと思っていたのだから)───其方はあそこで死ぬべき人間ではなかった」
そうだあの時ーーエジプトとの戦争の時に
陛下を狙っていた弓矢から陛下を庇って私はーー
子供達は大丈夫かしら
まだ小さいし陛下だけではとても育てるのは無理だろからきっとイルバーニたちは大変ね
陛下はーー陛下は誰かと再婚して私のことなど忘れ幸せに
幸せになって欲しい
でも、───でも全てを忘られたくはない
幼い頃からともに過ごしてきた日々は私にとってかけがえのないものだし陛下にも少しでいいから覚えておいてほしい
心の片隅にしまっておいてくれたらと思ってしまうのはわがままかしら
イシス、私はこれからどうなるのかしら
「そなたが行くのはエジプト・・・」
エジプト?イシスあなたは私にエジプトへ行けというのですか?
ヒッタイトの敵であるエジプトへ
イシスいくら女神であるあなたのお言葉でも私はエジプトへ行くことはできません
死したとしても私はヒッタイト帝国皇帝ムルシリ2世の皇妃です
再び生を受けるためと云ども私はエジプトへ行くことはできません
「そうだとしても私の加護がある其方はいかねばならぬのだ」
イシス私は
「話せるのもここまでだ。マリアにイシスの加・・・」
待って!!!!!!
ーエジプト 首都カイロー
「ジミー!ジミー!女性が倒れてるわ!!」
「キャロル・・・そんなに急がな、本当だ!キャロル、ライアンさんかロディさんを呼んでこよう!!」
「ジミー!ならママかアイシスも呼んできて!!私はここで待っているわ!!」
「わかった!!」
ジミーは走って会場へ向かった
そんなジミーを見送ったキャロルはナイル川の河岸に倒れているマリアの顔にかかった髪を退けようとしたその時会場の方から悲鳴が聞こえることに気がついた
バリーン!!!!!
わー!! きゃー!! わー!!
「何かあったのかしら・・・」
自分も行ったほうがよかった?とキャロルは立ちあがろうとしたがマリアの瞳がゆっくり開かれた
「気が付いた!?」
『ここ・・・は・・・』
凄く綺麗な人・・・
私と同じ青い瞳の筈なのに全然違く見える・・・
『あの・・・?』
「あっ、ごめんなさい貴方が綺麗だから見惚れてしまって!ここはエジプトのカイロ。この川はナイル川よ」
『エジプト、カイローーナイル川ーー』
「私はキャロルっていうの」
『私はマリアと申します』
「マリア──古代ヒッタイト、ムルシリ2世の皇妃の#名前と同じ名前ね!!ムルシリ2世を庇って亡くなってしまった・・・ムルシリ2世はマリア皇妃を深く愛していてマリア皇妃だけを唯一の妻として皇妃が亡くなった後側室も含めて一人も妻を娶らなかったと本で読んだわ!!」
考古学が大好きなキャロルは目を輝かせながらいいそんなキャロルの言葉にマリアは瞳を見開いた
「どうかした?」
『いいえ・・・なんでも、なんでもないの・・・』
まさか陛下が一人も娶らなかっただなんてーー
貴方とまだまだ生きたかった
陛下の暖かい腕に抱かれたかった
私も貴方だけを愛しています───
それにしても、ここは古代エジプトだとは思えないわ
キャロルさんの服装から考えて───まさか、現代?
現代ならいつの時代?私の最初の人生の時代?
バッタリ会ってしまうなんてこと・・・うんん大丈夫。だって生前の私はエジプトに来たことはなかったんだから・・・
その時
美人な顔が台無しになるくらい恐ろしい形相をしたアイシスがやってきた
「キャロル!!」
「あら、アイシスどうしたの怖い顔して
それよりちょうどよかった!この人マリアというのだけどここに倒れてて一緒に医務室に「こい、キャロルーーー私とくるのじゃキャロル!!」
「きゃっ。なにするのアイシス!!」
そなたを奪って
リード一家 特に兄ライアンに死ぬより苦しい思いをさせてやる
「どうしたのよ、アイシス。何をするのはなして、いやっ!!マリア助けて!!」
『キャロルさん!キャロルさんをはなしなさい!』
「はなすわけがなかろう!!ええい!!そなたも連れて行く!!」
アイシスは邪魔をしてきたマリアを気絶させた
「マリア!きゃー助けてジミーライアン兄さんいやー!!ア、アイシスはなしてー!!」
「キャロル私は過去へ帰らねばならぬ。そなたとこの女を一緒に連れて行くのじゃ!!」
「いやよっ!!たすけてぇーっ!!に、兄さんっ、ジミーっ!!」
「こいっキャロル!!」
「ライアン兄さん、ジミー!!」
私は過去へ帰らねばならぬ
弟の墓を暴いた呪いじゃ
そなたを古代へ 三千年前の世界へ連れてゆく
きゃあああああ・・・・・・・・・
アイシスはキャロルとキャロルを守ろうとしたマリアを
古代へと連れていってしまった
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