Throughout the ages | ナノ


▼ 034


その日ー
祝賀の使者に身をやつしたアッシリアの王アルゴン王が到着しテーベの大門の前に立った



「ふむう・・・これが世に名高いエジプトの首都ナイルの岸に栄える美しいテーベの都か。百門の都といわれるだけあって・・・なかなかに守りは堅いな。大門には聖堂の大扉か・・・この扉を閉ざせばちっとやそっとで攻め込めぬ」

「王!!」

「衛兵が見ております!お静かに!!」

「王!!」


ジーッと観察するように見ていたアルゴンを不審に思った衛兵がアルゴンたちに近づてくる


「なに者だ!!いずれよりまいった?」


衛兵がアルゴン達に近づいてくる


「よいか!このアッシリア王のアルゴンが使者の中に潜んでいるのを気取られるな!!」

「はっ!!」




「我々はアッシリア王よりの使者・・・エジプト王の婚儀の祝賀にまいった者でございます」

「おおそれは・・・遠路はるばるご苦労でした。各国のお使者の方々はどうぞ東の宮殿へ・・・」







のち・・・古代において恐怖のまととなる血みどろの戦士アッシリア民族はこのときエジプトの首都の門を潜った


今もルーブル博物館に展示されている古代アッシリアの人面獣心有翼の巨像──────






「ほ、ほう・・・我が国よりはるかに物資は豊富だな」


アルゴンは民達の話に耳を傾ける


「いよいよイシスの娘とメンフィス様の婚儀が3日後になったなぁ」

「全くめでたいことで!!」

「イシスの娘が王と結婚なさればエジプトはますます栄えるわ」

「でも、いつか街に出て来た方では無かったのね」

「えぇ。でもこの前お姿を拝見したけれどあんなに美しい方見たことないわ」

「美しいだけでなくお優しいのよね」

「子供達にこの前文字を教えて差し上げてたそうよ」

「もう宮殿の召使い達はイシスの娘に心を捧げているそうな」

「そんなお優しい方が王妃になって下さるなら幸せだねぇ」

「みんなで心から祝わなければねぇ」

「イシスの娘は我々エジプトの守り神だ!!」



イシスの娘はこれほどまでに民の心を掴んでいるのか・・・そういえば王はイシスの娘を熱愛しヒッタイトへ奪われた時炎のように攻め込み奪い返した!!国民も娘を救うために争って戦に参加したと聞いた!!どんな娘かますます興味が湧いてきたぞ!!






「マリア街に出て見ましょう!!」

「キャロルなりません!!」


キャロルの言葉にマリアの護衛としてついていたウナスが止めた


「マリアはエジプトの王妃になるのよ?古代エジプト人がどのような生活をしているか見るべきだわ!それにメンフィスはマリアを全然街に出してあげないじゃない!」

「王はマリアを心配しているのです!」

「だとしても閉じ込めておくのは違うわ!マリア、ルカが護衛についてくれるから大丈夫よ!さ、行きましょう」


ウナスは着いてこなくていいわとキャロルは私の手を引っ張り宮殿を出た
もちろんそれをメンフィスに忠実なウナスがほっておくはずもなくウナスも一緒に着いてきた


「キャロルなりません!王がお怒りになられます!!」

「ついてこないで!護衛はルカだけで十分よ!!」

「ルカはただの召使いです!!」

『ウナスもキャロルも少し静かにしないとばれて「あ!イシスの娘だ!!」

「イシスの娘だ!!」

「綺麗な黄金色の髪・・・」


キャロルが足を止める


「あら、神殿の中にある学校ね。マリア見ていきましょ!」

『ふふ、そうね』


メンフィスのお父様のお墓の後から沈んでいたキャロルがこんなにも生き生きとしているのだから私は頷いた



「マリア!?」

『ウナス少しだけだから・・・ね?』


反対をしているウナスは私が説得すると少しだけならとと許してくれた


「・・・少しだけですからね」

『ありがとう』


ウナスと話終わると子供たちが私に近づいてきた


「メンフィス王とのご結婚おめでとうございます!」

「キラキラ光る髪だ・・・」

「僕ら将来書記になるんです」

「神聖文字は難しいものね・・・」

「はい!700の神聖文字があります!外交語のアッカド文字も習ってます!!」

「イシスの娘!!」

『毎日勉学に励んでいるのね』

「はい!僕の兄はこの前の戦で戦死しました。でも僕も大きくなったらあなたにお仕えします!イシスの娘!!」

『!!!!!』

「僕も!!」

「僕らはあなたの僕です!!」


この前の戦い──────それは私を救うためにメンフィスが起こした戦いだ
私のせいでこの子のお兄さんは・・・・・・

マリアは子供達を抱きしめる


『ごめんなさい・・・・・』


これからは私があなた達を守るから・・・


「わっ」

「イシスの娘・・・!!」


そんなマリアを見てキャロルはあの時のことを忘れるために近くにいた子供に話しかけた



「ねぇ?今はどんな文章を習って・・・!!」


キャロルが聞こうとすると子供が答え粘土板を読む


「格言です。えーと汝の学識ゆえに自負するなかれ」


キャロルは粘土板を見て衝撃を受ける




あ、あれとそっくりな粘土板・・・・・!!



それはキャロルが古代へ来る前
現代で見た粘土板にそっくりなものだった







王の眠りを妨げるもの死の翼ふれるべし



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