▼ 033
『メンフィス・・・・・』
アイシス様はあなたの事をまだ・・・
「マリア宮殿へ帰るぞ!!」
メンフィスがマリアの腕を掴み馬まで走る
「わたしにしっかりつかまれ!!」
メンフィスは馬をすごい速さで走らせる
その姿をキャロルの従者としてついてきていたルカが見ていた
ふむ・・・メンフィス王とアイシス女王はどうやら不仲のようだ・・・これは面白い。イズミル王子にお知らせせねば。イシスの娘・・・・・心優しいあの娘をなんとしてもイズミル王子にさしあげたい
トルコ
高原──────ヒッタイト
イズミルが優雅に柔らかそうなベッドに横たわりながらルカから届いた手紙を読んでいる
イズミルは読み終わると立ち上がった
「旅の支度をいたせ」
「イズミル出発いたすか」
「はい父上。その時が来ました」
「メンフィス王とイシスの娘の婚儀のため近隣の国々がエジプトを目指す」
「みなイシスの娘に興味を持っているのです父上。そしてあの娘を知れば・・・誰もが欲しくなる・・・あの心優しく美しい娘を・・・」
「一度は手に入れながら不覚をとったものじゃ」
「では、行ってまいります」
イズミルはラクダに乗りエジプトを目指す・・・
イシスの娘・・・マリア・・・そなたはこの私が手に入れる・・・
そのころ
隣国ーアッシリア王国では
「エジプト王の婚儀か・・・世に騒がれている神秘な生まれのイシスの娘がどのようなものか見て見たいものだ。祝賀の使者としてエジプトに潜入するか」
一方下エジプトでは民たちがアイシスの帰りを喜んでいた
わー わー わー
「アイシス様!!」
「アイシス様ようこそお帰りを!!」
「女王アイシス様!!」
「我らが女王アイシス様!!」
「お帰りなさい!」
「アイシスさまーっ」
下エジプトの民がアイシスの帰りを喜ぶ姿を見てアイシスは民達に手を振る
「帰って来てよかったわアリ。私を迎えて町々ではお祭り騒ぎだそうね」
「下エジプトの民は皆アイシス様のお帰りを喜んでいます」
私が下エジプトへ帰れば注意がそらされるその隙に
マリアを盗み出せ!!
──────アッシリア
「さて、世に名高いイシスの娘がどんな娘かこのアッシリアの王アルゴンがこの目でじきしきにたしかめてやろう」
──────アラビア砂漠
「エジプトの国境に近づいたぞ。さて、ルカが待ちかねておろう」
「はい急ぎましょうイズミル王子」
マリアと古代エジプトの王メンフィスの婚儀は3日後に迫っていた・・・・・
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