▼ 030
メンフィスがルカと話しているのを遠目に見つつ私は顔色が悪いキャロルを心配していた
『キャロル大丈夫?顔色がとても悪いわ』
「マリア、私・・・」
『キャロル王宮に戻りましょう』
かなり顔色が悪いキャロルにこっそりと力を使ってみたけど精神的なことが原因なのか私の力は効かなかった
とにかくキャロルを早く宮殿へ帰らせなければとメンフィスを呼んだ
『メンフィス!メンフィス!!』
「マリアどうしたのだ!!!!!」
何かあったのかとメンフィスが血相をかえて寄ってくる
『メンフィス、キャロルの顔色がとても悪いのよ。早く王宮に戻りましょ』
「そうだな・・・しかしその前にーーーーー罪人を連れてまいれッ!!」
メンフィスの言葉に従い兵が捕まえられたばかりの罪人を2人連れてくる
「父の墓を荒らしたのはうぬらだな」
「お許しくだされ・・・」
「わしら貧しくてつい出来心で・・・お許しを」
「墓盗人は死罪と知っておろう!!」
『メンフィス!!』
私は咄嗟に罪人の前に出た
きっとメンフィスは彼らを殺す気だ
「マリア退くのだッ」
『メンフィスお願いよ!この人たちを殺さないで!!墓盗人は死罪かもしれないわ・・・あなたのお父様のお墓から盗もうとしたこの人たちを許せないということもわかるわ。でもお願いよ・・・命だけは助けてあげてメンフィス・・・』
「ッ・・・・その者たちを牢に入れておけ」
『!!』
「ですが!!」
「牢に入れておくのだ!!」
「は、はッ」
メンフィスの命令通り兵が2人を連れて行く
『メンフィス・・・』
「愛しいそなたが涙を溜めて願ったからこうしたのだ・・・そなたの願いでなければ殺していた・・・」
『メンフィス貴方は優しい人だわ・・・だってそうでしょう?私を愛してると言ってもきっと願いを叶えてくれる人だけではないわ。ーーーーーきっと貴方が王ならエジプトはこれからどんどん変わっていくわ』
「マリア・・・」
愛おしそうに見つめてくるメンフィスを優しく見つめ返していた私はじっとわツィをみている人がいることに気が付かなかった
あのメンフィス王に対して恐れることなく意思をのべる娘…のべるだけでなく王の考えさえも変えてしまうとは…なんと勇気のある美しい姫だ…イズミル王子必ずや貴方様のもとへイシスの娘を連れて帰ります・・・
メンフィスに恐れることなく意思をのべメンフィスの考えさえも変えてしまった美しく心優しいマリアを見てルカは必ずイズミルのもとに連れて帰ると決意した
『キャロル?』
メンフィスから離れてキャロルへ駆け寄るとキャロルの顔色はさらに悪くなっていた
『キャロル!!どうしたの!?』
顔を真っ青にし何かに怯えるようにガタガタと震えるキャロルを支える
「わ、私、私・・・」
『キャロル?何が怖いの?』
「私・・・王の墓に・・・21世紀で・・・王の墓に入ったの・・・私・・・入ったの・・・それで・・・あれは、若い王の・・・若い王の墓だった・・・・ッ・・・あれはメンフィスの・・・」
待ってお願いだからそれ以上は言わないでちょうだい
「メンフィスの墓だった・・・若くして亡くなったって・・・」
『やめてッ』
キャロルの言葉を大声を出して遮った
『違うわ・・・違うッ・・・・・』
「マリア!!」
珍しく大声を出したマリアにメンフィスやミヌーエ、ウナス達が駆け寄ってくる
『違うわッ・・・そんなッそんなわけッ』
「マリア」
私は何も聞きたくないと耳を塞いでしゃがみ込んだ
だってそんな・・・そんなことっ
メンフィスは耳を塞ぎしゃがみこんでいるマリアを抱きしめた
「キャロル一体何が」
そんなマリア見て固まっているキャロルにウナスは話しかけた
「ッ・・・・・」
「キャロル?」
「私が・・・私が・・」
『やめてッ・・・お願いだからッ・・・・・もう、もう言わないでッ・・・・・お願いッ』
「ミヌーエ城に戻る」
キャロルの言葉を遮るマリアにメンフィスはマリアを抱え城に戻るとミヌーエに伝えた
『ッ・・・・・』
メンフィスから離れないように手に力を入れるマリアをメンフィスは片手で抱き城を目指す
そして一行は先頭を走るメンフィスの馬を追いかけ城へ馬を走らせる・・・・・
prev / next