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『ん・・・・・・・こ、こは・・・』
「マリア目が覚めたのね!!」
『みた、むん・・・?』
「マリアが溺れたところをヒッタイトの兵士が助けたのよ」
『私は・・・・また、ヒッタイトに・・・?』
申し訳ないといった表情をしたミタムンにここはヒッタイトなんだとわかった
『そう・・・・でもミタムン貴女と再会できて嬉しいわ・・・』
「マリア・・・」
『本当よ・・・貴女と再会できて・・・本当に、本当に嬉しいのよッ・・・でもッ・・・でも私はッ・・・エジプトに帰りたかったッ』
手で顔を覆い涙する私にミタムンが抱きついてきた
「ごめんなさいッ」
『ミタムンッ・・・貴女のせいではないわッ・・・私が、私がッ・・・エジプトに帰りたいとッ・・・メンフィスのそばにいたいとッ・・・願ってしまったからッ・・・メンフィスを愛してしまったからいけなかったのッ』
私はもう自分の心に嘘をつけなくなっていた
何度も命を救ってくれた
毎回私を探しにきてくれた
色々あって怒ったり騒いだり乱暴な部分もあるけどカイル陛下と同じように私を妻にと望んでくれた人
この時代で一番最初に私を愛してくれた人
メンフィスーーーーー
「貴女は悪くないわッ・・・人を愛しいと思うのは仕方がないことだものッ・・・そしてその人のそばにいたいと思うのは当然のことだわ・・・」
『ッ・・・・私、帰りたい・・・ミタムンと離れることになってしまうけれどッーーーーーーそれでも帰りたいのッ』
「大丈夫よ。マリア私が帰してあげる」
『ミタムンッ』
「マリアはメンフィスの側にいるべきよ・・・私に任せて」
『ありがとうッ』
次の日
「マリア!」
『ミタムン!!』
「今からお兄様が来るわ!」
『イズミル王子が・・・!?』
「お兄様がこの部屋を出て行ったらこちらに潜入しているウナスに貴女をもう一度引き渡すわ」
そんなことしてバレたミタムンが大変なのに・・・
『私、貴女になんとお礼を言ったらいいか・・・』
「お礼なんかいらないわ。私は貴女に命を救ってもらった・・・それに貴女は大切な友人だもの」
『ミタムンありがとうッ・・・本当に・・・本当に・・・!!』
「王女様!王子様がもういらっしゃいます!!」
ミタムンの侍女が慌てた様子で知らせに来る
「お兄様がいなくなったらまた来るわッ・・・」
ミタムンは慌てた様子で去って行った
なぜミタムンが慌てて出て行ったのかはわからないけど多分ミタムンが私を万が一にも逃さないようにだろう
マリアの推理はあながち間違いでもなかった
この部屋付近に近づくことを許されたものはイズミルに長く仕えていてイズミルが信頼している侍女長のみで
妹のミタムンすら近づくことを許してなかったのである・・・・・
「マリア」
『ッ・・・貴方は私を帰すとメンフィスと約束したのでしょうッ!?』
「私はそなたが愛しい・・・そなたがいてくれるのであればエジプトとの戦は終わろう。これ以上犠牲は出ぬ」
『待ってッ・・・戦はまだ始まってないはずじゃっ』
「戦はもう始まっている。そなたを奪い返そうと奮闘しているメンフィス王によってな」
イズミルの言葉にマリアは力が抜け座り込んだ
そんなッ・・・私のせいで犠牲が出てる?
私が・・・私が・・・イズミル王子のもとにいれば戦は終わるの・・・?
「私はそなたがいてくれれば良いのだ」
イズミルがマリアの耳もとでそう語りかた
バタバタバタッと部屋に入ってきて「イズミル王子!!至急王のもとにお越しをッ」と慌てた様子の兵士にイズミルは眉を寄せた
「ここへ近づくことは許しておらぬぞ」
「申し訳ございません!!ですがエジプトがッ・・・エジプトが海を制しっ」
「まさかッ・・・」
イズミルが慌てた様子で部屋を出て行った
そして暫くしてからミタムンが部屋に戻ってきた
「マリア!!」
『ッ・・・みた、む・・ん・・・・・』
「マリア急いでッ・・・・・ウナスではなくメンフィス様が貴女を助けに来てくれたわッ」
『私ッ・・・・・』
##NAME1##の様子にミタムンは眉を顰めた
「もしかしてお兄様に何か言われたの?」
『ッ・・・・・』
「何を言われたかはわからないけれど、マリア貴女はメンフィス様のお側にいるべきよ」
『ミタムンッ・・・』
「さ、行きましょうッ」
ミタムンの言葉にマリアは頷き
それを見たミタムンはマリアの腕を引き走り出した
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