Throughout the ages | ナノ


▼ 020





もはや間に合わぬ
いかにメンフィスがあの激情でもって鬼神のごとく馬をかけても
もはや彼らには追いつけぬ・・・






「ミヌーエ賊は砂漠へ出ると見せかけてナイルに出るやもしれぬ。ナイルを警備しろ!!河畔に守備隊に伝令を出せ!!イムホテップ町へ兵を出ししらみつぶしに調べ怪しいものをとりおさえろ!!」

「かしこまりました王!!」




大胆不敵にもこのエジプト王のふところからぬけぬけと奪い去っていくとは・・・!!
おのれなにやつ・・・!!
マリア今助けてやるぞ!!





「砂漠へ出ていずれへ向かったか!!ヌビアかアビドスか!!おのれヤツらを生かしてはおかぬ!!」

「王、アビドスへもヌビアへも出た形跡は見えません。西では・・・」

「ではキャロルが言ったリビアの死の砂漠か!!」




憎っくきやつらめ
身体中の血が煮えたぎる
やつらを捕らえてどうしてくれようぞ
マリアどこだ!!







ほほほ・・・何者でも良い・・・
一番の邪魔者である##NAME1##をよくぞ連れ去ってくれたことよ
二度と帰ってこなければ良い 二度と我がエジプトに帰るな!!
星が流れる・・・おお我が神よ
何時の事跡にて我が思いを成さしめたまえ







その頃マリアを連れ去ったイズミル王子たちはリビアの死の砂漠を抜け船に乗っていた


「帆をあげよ!!全速力でヒッタイトへ!!ーーーーーははは・・・うまく追っ手をまいたぞ!!地中海までくればもう追いつけまい!!」

「全速前進!!」

「うまくいきましたねイズミル王子!!」

「今ごろメンフィス王はさぞかし怒りに青くなっているだろう。富貴と権力を欲しいままにしているエジプト王の鼻先を出し抜いてやったからな!!さて、私はイシスの娘のところに行ってくる。後は頼んだぞ」

「はっ!!」



ここは何処なの?視界が真っ暗で全然わからないし鼻も口も砂だらけで苦しい・・・

はっ、誰かが入ってきた・・・・・
目隠しをとってくれてる?

目を開けるとそこにはどこか彼ーーーカイル陛下に似たでも違う知らない人がいた
声からして多分私を連れ去った人


「イシスの娘そなたにきき・・・そ、そなたは誰だ!!」


イシスの娘?初めてきく言葉だわ
私以外のイシスの加護をもらっている人が多分そう呼ばれてるのね


『貴方が勝手に私を連れてきたんじゃない!!』

「では・・・私が間違えたのか・・・!?」


かなり重要な人物らしく陛下に似た瞳を持つ男は焦っているようだった


『それよりここは何処なの!!私をエジプトへ帰して!!』

「ここは船の上だ・・・そなたを帰すことは出来ない・・・」

『そんな・・・』

「そなたに聞きたいことがある。これを知っているであろう」


そういうとある額飾りを見せてきた


『これはミタムンの額飾りだわ』

「ミタムンを知っているのか!?」

『え?ええだって友人だもの』

「ミタムンの友人だと?」

『そうよ。今もエジプトで一緒に過ごしているもの』

「そをなはずはない!!これには血が付いている!!それにこんなにも焼け焦げているのだ!!妹が・・・ミタムンが生きているはずがない!!」


ハッとした
ミタムンが妹ということは彼はヒッタイトの王子
つまりは陛下と少しだろうとなんだろうと血のつながった祖先か子孫


「本当のことを言わぬのなら拷問をして喋らせる」

『!?』

「そなたの体に聞こう」

『待って!私は本当のことを言ったわ!!だからお願い放して!!』

「鞭を持ってまいれ!!」



そうしたらいいの・・・・
待って・・・この前助けた人は少しだけど製鉄法を知っていた
製鉄法はあの時まで皇族である私たちも知らなかったのに
ということはここは私の生きていた時代よりも未来なんだわ
つまり彼は私達の子孫ーーーーーーー



マリアを縛りながらイズミルは鞭を持って来るよう指示を出した


「肌は裂け・・・血が流れるぞ・・・それでも本当のことを話さぬか」

『私は本当のことを言ったわ・・・お願いよこんな事はやめ・・・』


ビシーッ!!!とイズミルはマリアの言葉を遮るように鞭を振るった


『きゃあー!!』

「話せ」

『あ…』


鞭を打たれたマリアの背中からは血が出ていた


「さぁ話せ」

『本当のことを、言ったわ・・・!!』

「強情な!!話せ!!」


ビシーッ!!イズミルは容赦なく鞭を再びマリアへと振るった


『あーっ!!』


痛い・・・・・背中が焼けているみたいに痛い・・・
陛下・・・イシス・・・助けて・・・
メンフィス・・・助けて・・・
メンフィス・・・!!


私はあまりの痛さに意識を手放したーーーーー






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