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ガヤガヤ ガヤガヤ
「買った買った!!安いよ!!」
「それいくら?」
「へーい!!」
「おっ!!イシスの娘だ!!」
「イシスの娘が来るよ!!」
「イシスの娘?」
「おや、旅のお方だね?メンフィス王が姉のアイシス様をしりぞけてまで熱愛し結婚を望んでいる相手だよ!!まだ、お姿は見たことはないがなんでも金色の髪に青い瞳を持つ娘だとか」
メンフィス王が姉のアイシス様をしりぞけてまで・・・愛している娘・・・
では、私の妹ミタムンの恋敵ではないか!!
妹のミタムン王女がしりぞけ
女王アイシスをも寄せ付けぬほどメンフィス王の心をとらえたイシスの娘!!
さて、どのような娘か・・・
見てやろう!!
「イシスの娘だ!!」
「あれが・・・」
「メンフィス王が熱愛しているイシスの娘だ!!」
「本当に金色の髪に青い瞳を持っているのね!!」
「それに不思議な力を持っているとか」
「そうそう、その力でメンフィス王の命を救ったそうよ!!」
「まぁ!!」
「キャロル帰りましょう!!今、王はマリアが未だ目を覚まさぬため機嫌が良くありません!!王がお知りになればお怒りになります!!」
「いやよ、もう少し歩くわ。宮殿にいても#マリアは目を覚まさないからお喋りもできないし何よりマリアにお土産を買いたいもの」
まさかウナスが私の護衛になるだなんて・・・
なんとかしてウナスをまいて逃げ出さないと・・・
でもマリアを置いてはいけないし・・・
コロコロコロ・・・・・
そう考えているキャロルの足元に何かが転がってきた
「これは、これは失礼をいたしました・・・」
イズミルはイシスの娘と呼ばれている娘の顔を見るためわざと布を転がしたのだ
ほう・・・
この娘か。メンフィス王が熱愛している娘とは・・・
しかし、思ったより普通の娘なのだな・・・
明るい髪の色・・・!!
茶色の目・・・この人はエジプト人ではないわ!!
どこから来たのかしら
「あ、貴方はあの・・・」
「貴様エジプト人ではないな?怪しいやつ何者だ!!名をなのれい!!」
ウナスがそういうとダダダ・・・と兵が囲んだ
まわり中護衛兵!?
メンフィスはまた私が何かすると思ってつけさせていたのね!!
マリアがまだ目を覚まさないのに逃げるわけないじゃない!!
ほ、ほう・・・
これは厳重な身辺護衛・・・
噂通りメンフィス王はこの娘によほどの執心とみえる・・・
「何をしている名をなのれい!!」
「こっそり出かけたつもりなのに・・・」
「これはまことにご無礼をいたしました。私は国々をまわり布を売りに歩く商人イミルと申します。これは入国の許可証・・・今、西の砂漠より着いたばかり」
「ふむ、布商人か・・・よし、商人の出入りは許されている」
やっぱり外国人だわ!!とキャロルは歓喜した
「では、あのリビアの砂漠を超えてきたのね!!貴方の国籍はどこなのですか?旅の様子を聞かせて」
考古学が大好きなキャロルが何も聞かないわけがなくイミルに話を聞こうとしたがウナスがそれを許さなかった
「キャロル早く宮殿へ帰りましょう」
「ウナス私お話を聞きたいのよ」
「これ以上はなりません。それにマリアが目を覚ましているやも」
「・・・・・・わかったわ」
マリアの名前を出されては帰るしかないとキャロルが宮殿へ戻ろうとするとイミルは引き留めた
「お待ちください。失礼のお詫びにこの布を献上したく・・・」
「え、私に?」
「また、お会いします必ず・・・」
「え!?」
「どうぞこの布を・・・」
イミルが小声で言った言葉はどういう意味なのだろうとキャロルは思ったかがウナスに背中を押され意味を聞くことはできなかった
「さぁ、キャロル宮殿へ・・・」
「おー!!イシス女神の娘だ!!」
「牢の中で清水を作って囚人たちを病気から助けたそうな」
「イシスの娘だぞ!!」
「ウナス・・・みんな私をマリアだと思っているわ・・・」
「仕方がありません・・・マリアは1度も街に出たことはありませんから・・・いずれは誤解も解けます」
「だけど、早く解いた方がいいんじゃ・・・」
「##NAME1##が目を覚ましたらすぐに解けます。さぁ、とにかく戻りましょう」
というウナスにキョロルは納得いかなかったが黙って帰ることしかできなかった
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