▼ 014
「もうすぐ夜が明ける・・・マリア・・・」
『・・・朝?』
「夜が明けるわ…」
硬い石の上で寝るなんてしたことのなかった私はキャロルに起こされ辺りを見渡した
「う・・・・・ん、う・・・・・ん、水を・・・くれ・・・」
苦しそうに唸りなっている男性に水を渡そうと水を探すとそこにあったのは飲み水とは思えないくらいに汚れた水だった
『お水・・・これかしら?』
「でも、泥水よ!?」
『こんなのを飲んだら病気になってしまうわ・・・』
私は水を操ることはできても何もないところから水を出すなんてことはできない・・・
どうしたらいいの・・・・・・そうだわ、ろ過装置・・・
ヒッタイトに生まれる前のことだからだいぶ曖昧だけれど・・・
こうして、こうして、後は水を流せば・・・
「もしかして!!」
『えぇ、ろ過したのよ。後は火で沸騰させれば・・・!!』
「マリア凄いわ!!」
「マリアあなたは・・・」
『ふふ、これで綺麗なお水が飲めるわね!!』
「そうね!!あ、もう時間だわ・・・マリア行きましょう」
『えぇ。頑張りましょうキャロル』
キャロルとウナスより先に出た私は私が濾過をした水を見てウナスがやはり・・・と思っていたことなんて知らない
「金の産出が予定より遅れているぞ」
「は、ナイルの水がおさまり次第到着致しますメンフィス王」
「戦車を引く馬が不足しているぞ」
「今日キプロスとクレタより血統の良い馬が到着しました」
「ヌビアよりの象牙の供出が遅い。使者を出せ」
「メンフィス様、先ほどまた間者より知らせが届きました。ヒッタイト王国が密かになにか策動している様子・・・」
「ふむ・・・」
我がエジプトはまわりを海と死の砂漠に守られているが・・・
「ヒッタイト王は何を企むか・・・」
メンフィスは立ち上がり外を眺めた・・・
熱い砂漠は熱砂となって焼きつくばかりに熱かろう・・・
マリア・・・まだ許しを乞いにやってこぬつもりかッ・・・
ガヤガヤという騒がしさに気がついたアイシスがメンフィスの後ろから外を見た
「あら、どうしたのかしら」
メンフィスもその騒がしさに気がつき何事かと思っているとイムホテップがやってきた
「騒がしいな」
「メンフィス王」
「イムホテップか・・・どうした。騒がしいがあれはなんだ」
「はいメンフィス王。あれはマリアの噂をしているのです」
「な、なに!?マリアが・・・マリアが砂漠で倒れたのかっ!!」
まさか本当に倒れてしまったのではと思ったメンフィスは焦った
王の気持ちをわかっていたイムホテップは静かに言葉を発した
「いえ・・・そのような知らせはまだありませぬ。いずれはそうなるでしょうが・・・」
「で、では・・・」
「あの娘は賢い娘ですメンフィス王。私は気に入りましたぞ。いつかエジプトに現れると伝えられている娘ではないかと思いましてな・・・砂漠で死なせるのは惜しいと・・・」
イムホテップの言葉にメンフィスはショックを受けた
「死!?」
そしてそんなメンフィスを見たアイシスもまたーーーーー
「め、メンフィス・・・」
「イムホテップ!!決心したぞ!!私は#マリア#をこのエジプト王メンフィスの妃にする!!」
「は・・・」
イムホテップは畏まりましたと頭を下げた
「盛大な儀式を行い正式な王妃ともなれば##NAME1##も従うに違いない!!馬ひけーっ!!」
もちろんそれに賛同できないものもいた
メンフィスの婚約者であり王妃になるはずだったアイシスである
「国中に布告した私との約束はどうなるのです!!メンフィス!!」
出ていってしまったメンフィスを追いかけようとすアイシスをとめイムホテップは言った
「アイシス様、私は王家の為にも姉弟の結婚は賛成ではないのです」
「なにをいうイムホテップ!!」
「誰にもまして美しく聡明なアイシス様、王家には新しい血が必要です。まして王にはあれほどに熱愛する娘が現れたのです。マリアと申すあの娘きっとお若い王のお力になるでしょう」
このままではマリアがメンフィスの妻になってしまう!!
おお・・・なんとすれば良いものか
メンフィス・・・ッ
prev / next