▼ 012
昨夜起こったナイル川の氾濫にのみこまれてしまったメンフィスをミヌーエ達は探していた
「王はいたか!?」
「いません!!」
「どこに・・・・・!?」
倒れているメンフィスを発見したミヌーエたちはメンフィスへと駆け寄った
「なぜ王が抱いているのがキャロルなのだ・・!!ではマリアは!?」
そう
あの時メンフィスが手を掴み抱きよせたのはマリアではなくキャロルだったのだ
ミヌーエは兵士をメンフィスを宮殿へ運ぶものと引き続きマリアを探すものにわけた
「ミヌーエ将軍王を宮殿にお運びいたしました」
「ああ・・・ところでマリアはいたか?」
「いえ・・・くまなく探しているのですが・・・」
「そうか・・・」
女神だと言われているマリアが死ぬはずはない───そうだと思っていてもいくら探しても見つからないマリアにミヌーエは不安を覚えた
すると母であるナフテラが急いだ様子でこちらにやってきた
「ミヌーエ、メンフィス様が目を覚ましました!!」
「本当ですか母上!!」
急ぎ王であるメンフィスのもとへ向かうとナフテラが言った通りメンフィスは目を覚ましていた
「王!!目が覚めましたか!?」
「ミヌーエか・・・あぁ、ところでマリアは大事ないか?」
「いえ、それが・・・」
言いにくそうにしているミヌーエを見てメンフィスはもしやマリアになにかあったのか?!とミヌーエに問いかけた
「何かあったのか!?」
「・・・いいえメンフィス様・・・マリアは」
「どうしたのだ!!何があった!!」
心から心配しているメンフィスにミヌーエはゆっくりと言った
「マリアは・・マリアはまだ、見つかっておりません・・・」
その言葉にメンフィスは目を見開いた
「何を言う!!マリアは私の腕の中にいたはずだ!!覚えている!!私は確かにマリアを抱き寄せた!!」
「いえ・・・王が抱いていたのはマリア#ではなく・・・キャロルです」
「マリアではなく・・・キャロルだっただと・・・?」
「はい」
「ではマリアは!!」
「ただいま捜索中でございます・・・」
「な、なんという事だ・・!!私もマリアを探す」
「王なりません!!」
「うるさい!!」
起き上がりマリアを探しに行こうとするメンフィスをミヌーエは止めようとしたがメンフィスはミヌーエの手を払い部屋を出ていってしまった
「王・・・」
その頃マリアは
「気が付いかい?」
『こ、こは・・!!あ、私』
「あんたはナイル川に倒れていたんだよ」
『私川に流されて・・・』
「さ、病み上がりなんだからゆっくりしてなさい。あんた、1週間も寝込んでいたんだから・・・」
『い、1週間も!?』
まさか1週間もたっているとは思わなかったわ
「あぁ、そうだよ。私はシャリファよろしくね」
『名前##です。助けて下さり本当にありがとうございます』
「あんた奴隷じゃないだろ?奴隷の私にそんなこと言わなくていいんだよ?」
『奴隷だとか関係ありません』
助けてくれたのに奴隷だからという理由でお礼を言わないなんて有り得ないわ
「・・・・・変わったお嬢さんだ」
私が目を覚ましてから早2週間
私は意外にも楽しくシャリファさん達と過ごしていた
「マリアあんたは働かなくていいんだよ?」
『いえ。お世話になっている身ですから』
怪我をした人々を治したり時々シャリファさんの仕事を手伝って過ごす日々は日本人では学生、ヒッタイトでは貴族、そしてこの時代へ来てからは花を摘んだり
メンフィスの相手をしたり、キャロルさんと話したり、メンフィスの相手をしたりとしていた私には新鮮でとても楽しくてメンフィスが必死に探してくれてるとは1ミリも考えていなかっ
「マリアはまだ見つからぬのか!!」
「メンフィス少しは寝てくださ!!」
目を覚ましてから毎日朝から夜までマリアのことを探し続けるメンフィスの体調が良くなるはずもなくアイシスはメンフィスを心配したがメンフィスは冷たく言った
「姉上は黙っていてください!!」
「王!!マリアらしき人物が奴隷の村にいるとの報告が!」
「なに!?間違いないのか!!」
「はい!なんでもナイルの氾濫の後からその村で怪我人の治療をする女神のような娘がいると!!」
「間違いない!マリアだ!!行くぞミヌーエ!!」
「はっ!!」
マリア・・・
ようやくそなたを我が腕に・・・無事でいろ!マリア!!
がやがや がやがや
「外が騒がしいね」
『私見てきますね』
シャリファさんにそう言って外へ出ると顔見知りの方を見つけて声をかけた
『おじ様何かあったんですか?』
「ああマリアなんでも人を探しているそうだよ」
『人を?』
「!!───メンフィス様!!マリアがいました!!」
「なに!?」
「あそこに!!」
少し離れたところにいる金の髪を持った女を見つけた兵士はメンフィスへ報告した
金の髪・・・このエジプトでそれを持つのは2人だけ
今は宮殿にいるキャロルそして───行方不明だったマリア
つまりあれはマリア
メンフィスは馬から降りてマリアに駆け寄り抱きしめた
「マリア!!」
『め、メンフィス!?どうしてここに!!』
「そなたを探していたのだ…無事で良かった…」
ついここでの生活が楽しくてメンフィスやキャロルのことを忘れてしまっていた私は少し申し訳なくなった
まさかここまで必死に探してくれてるなんて思わなかったから
『メンフィス・・・ごめんなさい私』
まさかあなたがこんな体調が悪そうなのに無理をして探してくれてるなんて───
いや、メンフィスは前も私を身体が辛いだろうに探してくれたじゃない
───私は私を想うメンフィスの気持ちに応えられないのに
「マリア・・・そなたを愛している・・・私のものになれ」
『メンフィスそれはもう断ったわ!!だって、私には愛する夫がいるのよ!!』
「ならばその男を殺して私のものにする!!」
『メンフィス!!』
「そなたは私の側にいればいいのだ!!ミヌーエ宮殿に戻るぞ!!」
「はっ!!」
『メンフィス放して!!』
「放さぬ!!」
『メンフィス!!』
メンフィスは私を無理矢理抱え馬に乗せるとこれでもかとスピードを出して宮殿へ向かった
『放して!お願いよメンフィス!!』
「私に逆らうことなど許さん!!私はエジプトの王だ!!私はラー神の子なるエジプトの王だ。私からはもはや逃れられぬ」
『そんな・・・』
「見ろ、あれはお前のために建てている神殿だ。マリアお前の無事を神に祈り我が腕に返したまわば・・・九神郡の神々の中の王アメン・ラー神に神殿を捧げると誓ったのだ」
アメン・ラー神それは古代エジプトの最高神───
「神は私の祈りを聞き届けお前をナイルより私に返してくれた。ナイルに攫われたお前を神が私に与えようとして返してくれたのだ!!」
『メンフィス私の話を聞いてちょうだい!』
「お前は私のものだ・・・濁流の中でお前を見失ってつかまえたとおもったらマリアではなくキャロルだと知った時・・・どれほどわが身を責めたことか・・・そなたがこんなにも愛おしいものだとは・・・マリアそなたがなんと言おうとも、もうそばを放さぬぞ!!」
『いいえ、ダメよメンフィス。何度も言ってるけど私は夫がいるのよ!!私は彼だけを愛すると誓っているのよ!!』
「そんなことは関係ない!!私は王だ!!私がそなたを妃にすると決めたのだから夫がいようと関係ない!!」
『私はカイルを愛しているの!!お願いよわかってメンフィス!!』
「わからぬ!!ええい、カイルと申す男を捕らえて殺してやる!!」
メンフィス・・・どうしてそこまで・・・
貴方の気持ちに私も揺れているわ・・・
でも、どうしても陛下をカイルを裏切ることはダメだと心が言っているのよ・・・メンフィス───
ああ、イシス私はどうすれば───
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