▼ 011
1番近い場所ということで仕方なしにメンフィス達がいる広前来たマリアをメンフィスが出迎えた
もちろん怒りながら───
「マリアそなたどこにいたのだ!!」
『ごめんなさい、メンフィス今は貴方と話している時間はないの。ナフテラさんキャロルさんこっちに!』
「マリアそなた・・・・・」
「「「「「!?!????!!」」」」」
キャロルとナフテラに支えられながら部屋に入ってくるミタムンを見てメンフィス達は驚いた
「マリア・・・な、なぜ・・・ミタムン王女が・・・!!」
『話は後!!』
私だってメンフィスに聞きたいことがある
でも今はミタムン王女を優先しなきゃとミタムンを治癒能力で治療した
『うん。これで大丈夫』
「マリア!なぜミタムン王女がエジプトにいたのだ!」
「地下牢に閉じ込められていたのよ」
「な、何!?誰がそんなことを!」
『知らないわ!!でも、エジプトでヒッタイトの王女が怪我をしただなんてヒッタイトに知られたら・・・!!』
「!!」
もう遅いかもしれない・・・
メンフィスがコブラに噛まれた日に来たヒッタイト兵は国王へ報告すると言っていたもの・・・
王女が行方不明・・・しかもメンフィスの婚姻相手をアイシスと発表した直後に
絶対ヒッタイトはエジプトが関係していると疑っているはず───
その時アイシスが先程のことなんてなかったかのように普通に広間へやってきた
「どうしたのです!!」
「あ、姉上・・・私はどうすれば良いのだろうか・・!!」
「落ちつきなさいメンフィス。ミタムン王女の命は助かりました、なんとかなります」
なんとかなる?なんとかなるってなによ!!
『バカなこと言わないで!死ななかったから良かったの!?違うわ!!怪我をしたことがそもそも良くないのよ!しかもエジプトを既に出発しているとヒッタイトへ報告したはずの王女が!!それに、貴女が!』
「マリア落ち着いて。ね?」
キャロルさんが私に落ち着いてと言うけど落ち着いてられるわけがない
だって彼女はミタムン王女を間違いなく殺そうとしてたのだから
なのにアイシスは平然と嘘を言う
「そうです落ち着きなさい」
「姉上がどうかしたのか?」
「私は知りませぬ。気が動転したのでしょう」
メンフィスがアイシスがどうしたのかマリアに聞くとアイシスは食い気味に自分は何も知らないと言った
ミタムンがまだ生きている・・・
私がしたことを話されたら・・・
それにあの者たち、特にマリアが話すやもしれぬ・・!!
アイシスはなんとかしなければと内心焦っていた
今はなんとか誤魔化したがマリアが話せばメンフィスは彼女の方を信じるかもしれない
───マリアが話す前になんとかしなければ・・・と
その時広間にいたひとりが叫んだ
「王!シリウス星が現れました!!」
シリウス星─── 明け方・・・東の空に現れるようになるとナイル川の大洪水の時期がまもなくやってくることを知らせる星で大河ナイル川の氾濫は,古代エジプトにとってやっかいなものでありその一方上流の肥えた土を大量に運んできてくれるありがたいものでもあった
「なに!?」
「星が現れた!!」
「ナイル川が増水を始めたぞ!ありがたい!!」
「どうか、今年も豊作でありますように」
「おお、ナイルの恵みが始まる」
「増水してきたぞ」
シリウス星が流れたことに喜びあっている広間にいる人達をみたキャロルさんが私に小声で話しかけてきた
「みんなの関心が逸れているうちに逃げましょう!さあ立って!!」
『え?』
「待てキャロル!!マリアを連れてどこへ行く!!」
兵士の言葉にメンフィスはキャロルがマリアを連れて何処かへ行こうとしていることに気がついた
なにっ!?キャロル、マリアを連れて逃げるつもりか!?
「見つかってしまったわ!!マリア頑張って!!」
『キャロルさん・・・は、早いわ!!』
ユーリさんも足が早かったけどキャロルさんも早い
戦に同行していたとは言え私はヒッタイトの貴族としてこれまで生きてきた
もちろん日本人として生きていたときは走ったことはいくらでもあるけどこの身体ではないのだから現代人のキャロルさんについていけるはずもなく追いついてきたメンフィスが私を捕まえようとしたその時
「待てキャロル!!マリアを連れて行くことは許さんぞ!!」
「あ、」
『え、・・・きゃー!!』
いつの間にか行き止まりになっていたのだ・・・ナイルの氾濫によって
私とキャロルさんはナイル川へ落ちていった
「マリア!!」
『め、メンフィス・・・助け・・・』
飛び降りてきたメンフィスが手を伸ばしてくれたけどメンフィスの手が私に届くことはなく
そして私は意識を手放した───
3人は濁流にのまれていく・・・
そんな中でメンフィスは必死にマリアを探しそして見事手を掴み抱きよせた
捕まえた、捕まえたぞ!!
マリア・・・そなたは決して放しはしない・・・
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