▼ 010
はは・・・
「イムホテップ祝い酒じゃうんと飲め」
「では、王の栄光のためにもう一度乾杯を」
は・・・ ははは・・・
広間から少し離れたところにいたマリア達にも賑やかな音が聞こえて来た
『宴が始まったみたいだわ』
「今ならセチを助けられるかもしれないわ」
今しかチャンスはないかもしれないやるしかないとキャロルさんと一緒に今回もまた窓から部屋を抜け出した
見つからないよう慎重に
「みんな酔っ払っているからうまく抜け出せそう・・・マリアは先にセチのもとに行っていて」
『わかったわ』
お互いに気をつけてと言って私たちは別れた
バレないよう慎重に移動しながら以前セチさんがいた牢屋へ向かうとセチさんは移動しておらず以前と同じ場所にいた
『セチさん、セチさん』
「!!マリア」
『キャロルさんが鍵を持ってくるわ。あと少しの辛抱よ』
しばらく待つと無事鍵を持ってきたキャロルさんがバレないよう慎重にこちらにやってきた
「マリアお待たせ」
カチャと鳴った音に一瞬ヒヤリとしながらも無事私たちはセチさんを救出した
「行きましょう!」
『まって、風が吹いてきたわ・・・嵐が来るかもしれないわ』
「嵐なんてきたらナイル川を下れないわ!!」
「とにかく行こう」
嵐が来る前に・・・というセチさんの言葉は発せられなかった
「お待ちマリア逃がしませんよ」
『ナフテラさんっ』
「部屋からは出ないとの約束だったのに」
私たちを見つけたのは女官長でありミヌーエ将軍の母であるナフテラさんとナフテラさんが連れてきたであろう数人の兵士だった
『私は逃げる気はないわ。ただ、キャロルさんとセチさんは逃がしてあげて欲しいの、お願いよ!』
「なりません、王にばれたら逃げたのが貴女ではないにしてもどんな目にあうか」
『ナフテラさん・・・』
「さあ、セチのことは息子のミヌーエに任せてマリアとキャロルは部屋に戻りましょう」
ナフテラさんは私の1人の兵士がキャロルさんの肩を抱くとセチさんが声を上げて私たちの方へ走ろうとしたけれどセチさんはそのせいで兵士に捕まってしまった
「このやろう!!マリアとキャロルを放せ!!」
「セチー!!」
『セチさん!!』
キャロルさんの肩を抱いていた兵士は報告に行くといいナフテラさんキャロルさんを任せて去っていったけれど私たちは兵士に連れていかれてしまったセチさんが気がかりだった
「さあ、行きましょう」
その後何故かナフテラさんに神殿へ私たちは連れてこられていた
『ナフテラさんどうしたの?』
「しーっ」
「あ、あれはヒッタイト王国のミタムン王女?!」
『国へ帰ったのではなかったの?それにあの姿・・・』
「様子が変だわ」
格好はみっともないくらいボロボロで最初から王女だと知らなければ絶対に王女だなんて分からない格好でミタムン王女はふらふらと歩いていた
その先にいるのはただひとりなわけで
祈りを捧げているアイシスにふらふらと歩きながら刀を向けるミタムン王女を見てキャロルさんが叫んだ───ミタムン王女とほぼ同時に
「危ないアイシス!!」
「死ねアイシス!!」
「ミタムン王女!いつの間に地下牢をねけ出したのです」
キャロルさんの言葉でなんとか交わしたアイシスはミタムン王女に驚いていた
エジプトにいることにではなく地下牢を抜け出したことに
つまりミタムン王女はずっとエジプトにいたのだ
アイシスに地下牢に閉じ込められて
「そなたを殺してから国へ帰る!!王女の私をこのような目に合わせ侮辱したそなたを殺す!!覚悟しやアイシス!!─────────死ねっアイシス!!」
パァン。ミタムン王女はアイシスに叩かれなにかにぶつかり倒れてしまった
「あ!!────────────うぬ今度こそ!!」
ニヤリと不敵に笑ったアイシスが火(明かり)を傾けると灯油を浴びてしまったミタムン王女の方へ火が燃えて行く
「あ、油に火が!!」
『ミタムン王!!』
ミタムン王女へ駆け寄って火から遠ざけようとキャロルさんがするけれどそれよりも確実に火を消すために私は力を使った───
お願い間に合って・・・・
「危ない王女こっちへ!!」
「あーっ」
バシャンッ
ミタムン王女に火が燃え移った瞬間ミタムン王女に水が降りかった
「み、水!?な、なぜ水が!!」
アイシスは訳が分からなかった
自分が傾けた火により邪魔な存在であったミタムン王女は燃え死ぬはずだったのにミタムン王女に水がかかり火を消したのだから
『ミタムン王女!!』
ナフテラさんから離れて私はミタムンに駆け寄るへ駆けよって最初に火が燃え移ってしまった足を確認した
『大変だわ、火傷をしている・・!!ナフテラさんミタムン王女を部屋に』
「は、はい!」
『キャロルさんも手伝って頂戴』
「わかったわ!!」
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