▼ 009
わー わー わー!!
「あら?」
『何かあったのかしら』
普段とは少し違った騒がしさにキャロルさんと2人で何かと気にしていたらメンフィスがやってきた
メンフィスは私の手を引きどこかを目指す
「マリア!!」
『メンフィス』
外へ出るとそこには大きい船があった
「見ろマリア宰相のイムホテップが帰ってきたぞ」
私の肩を抱き港の方を指差すメンフィスが指す方を見るとメンフィスはあれが何なのかを教えてくれた
「宰相イムホテップが外国を歴訪して今、帰ってきたのだあの船団にこのエジプトの王メンフィスへの貢物を満載してきたのだマリア」
「イムホテップ様のお帰りだ」
「イムホテップ様のお帰りだぞー!!」
あんなに大きな船を何隻分も?!
「このエジプト王メンフィスへの貢もを満載して帰ってきた」
なんて・・・なんて王者らしく誇らしげに笑うの───
誇らしく笑うメンフィスの表情に私の心臓がドキリと鳴った
広間に行くとそこには大量の箱箱箱
きっと中は貢物でいっぱいなのだろう・・・
陛下が即位された時も多くの貢物を頂いたけれどこれはそれよりも多い
きっとこれが大国エジプトの王という証なのだ
そして他国はそれに媚びていく
あの美しく若い王へ取り入るために───
「イムホテップご苦労だったな」
「メンフィス王・・・ただいま帰りました。お元気なお顔を拝し喜びにたえませぬ・・・旅の途中王がコブラに倒れたとの知らせを聞いた時はいたく心配いたしましたぞ」
「うむ、マリアが助けてくれたのだ」
「ほう・・・異国の娘ですな・・・」
とても目の光が鋭い方だわ・・・私のことを疑いの目で見ている
この方には嘘は通用しなさそうね
「はてアイシス様はいずれに」
「うむ、神殿にこもって祈りを捧げているらしい」
ここにいても意味はなさそうだし私は退室しよう
『メンフィス、私はキャロルちゃんと部屋に戻っているわ。折角の再会なんだもの積もる話もあるでしょう?』
「逃げるのではあるまいな?逃げることは許さんぞ!!」
『逃げないわ!!本当よ!!』
「ナフテラ、##NAME1##を見張っていろ」
「かしこまりました。さ、マリア、キャロル行きましょう」
私は信用できないってこと?
失礼しちゃうわ
私だってメンフィスがセチさんとキャロルさんに酷いことをしない、セチさんを家に帰すと約束してくれたら逃げるなんてことしないのに
マリアが出ていく後ろ姿をメンフィスは切なそうででも愛おしそうに見つめた
そしてそれに気がついたイムホテップは近くにいたミヌーエに話しかけた
「ふむ、ミヌーエ将軍王はあの娘に夢中だな」
「はい、イムホテップ」
イムホテップはあの娘の目には理知の光があり気品もある・・・良い娘だと思いながらも王であるメンフィスの姉アイシスのことを考えた
「だが、アイシス様は王を熱愛しておられる」
「しかしイムホテップ、王はアイシス様よりもマリアが・・・」
「ああ、見ていればわかる・・・」
「それに、マリアは女神として宮廷で慕われております。いずれ民たちにも知れ渡るでしょう・・・」
「ほう…」
イムホテップはアイシスのことを考えながらもあの娘ならば上下において争いは起こらぬやもしれぬな・・・とマリアのことを考えた
「それにマリアは王の命を救った優しい娘です」
「ミヌーエ将軍もあの娘が気に入ったと見えるな」
「えっ!?いえ、あ・・・」
イムホテップの言葉赤くなるミヌーエであった
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