▼ 007
「さて、あの娘らをどのようにしろとのご命令でございましょうか」
「死の家へ連れて行き一歩も外へ出してはならぬ。よいか、死ぬまで働かせ死ねばミイラにせよ」
「うけたまわりましたアイシス様」
マリアに近づく影が1つ・・・
「さあ、くるんだ奴隷娘」
『え?』
「さあ来るんだお前達はわしが買ったんだ」
買ったってどういうことよ!!
───まさかメンフィスが?
うんん。そんなことはどうでもいいわ
キャロルさんだけでも逃がさなきゃ
『キャロルさん貴女は逃げて!!』
「でも!」
『いいから!早く!!』
キャロルさんは泣きそうな顔で走っていった
これでキャロルさんは大丈夫
とホッとしていると私までは逃がす訳にはいかないと思いっきり腕をひかれた
「さあ、来るんだ!!」
その時マリアが連れ去られるのを1人の女官が見かけ叫んだ
「あ、あれは死の商人。死の家のミイラ職人だわ!!だれかきてぇー!!」
「ミヌーエ様大変です!!マリア様がいま西の死の家のものに!!」
「な、なに!?」
「なに、マリアが死の家に・・・!?馬ひけー!!」
ミヌーエに報告しに来た兵士の言葉にメンフィスが急いで追いかけようとしたその時キャロルが走ってやってきた
「メンフィス!」
「今はお前の相手をしている暇はない!!」
「お、お願い!話をかないて!!マリアを助けて!!変な人に連れて行かれてしまって!!兵士を」
「だから、いまから私が助けに行くのだ!!」
「メンフィス様!」
「貴方では無理だわ!起きたばかりなのよ!?」
「そうです!お体にさわります!!私がまいりますどうかおしずまりを!!」
まだ起きたばかりのメンフィスを止めようとするがメンフィスはさらに叫んだ
「うるさいミヌーエ!!馬はまだかーっ、なにをしている馬ひけー!!馬ひけー!!」
「メンフィス王いけませぬお体が!!どうかおしずまりをメンフィス王!」
「だまれ、だまれ、だまれ!!」
メンフィスは辛い体にムチを打って馬に乗りはあはあと辛そうに息をしながらマリアを助けに馬を走らせた
「マリアいま助けてやる!マリア!!」
「メンフィス王!!」
「メンフィス様!!」
「はあはあ・・・うっ・・・・・マリアッ」
その頃マリアは通称死の家と呼ばれるミイラを作る建物にいた
『こ、ここは・・・』
「ここはミイラを作る死の家。あるお方がお前をミイラにせよとおおせなのだ!!金はたんまりいただいた・・・さぁ台へ乗れ。異国の娘がエジプト人と同じか・・・調べてやろう」
ミイラ?!私はまだ生きているのよ?!
『いやよ!離しなさい!!』
「おい、みんな手伝え!!」
『あけて!助けて・・・お願い誰か!!』
「金色の髪とは珍しい・・・ミイラにするにはもったいないがある方からの命令だ」
「あの方からの命令だ守らねば我々が殺される」
あの方?誰のこと?
───まさかほんとにメンフィスなの?
『私は生きた人間よ!離しなさい!』
私が抵抗をしているとドカッとミイラ職人の背中ににナイフが刺さった
ナイフ?誰が───
『め、メンフィス・・・』
「はあはあ・・・」
メンフィス・・・その体で
なら私をミイラにしようとしたのはあなたではないの?
わからない───あなたが分からないわメンフィス
いきなりメンフィスが抱きしめてきた
『あ・・・』
「マリア」
メンフィスあなたは私を助けに来てくれたのね・・・
こんなにも辛そうなのに───
「間に合って良かった・・・私は姉上とは結婚せぬ・・・お前を、お前を愛している・・・マリアお前を愛している!!私の妻になれ!!」
『メンフィス!?』
何を言っているの?!
妻になれだなんて無理に決まっているわ!!
私が既に死んだ者であろうと私はカイル・ムルシリ───ムルシリ2世であるあの方の妻で
ヒッタイトの皇妃なのだから
「私は姉上とは結婚せぬと決めたのだ」
『メンフィスあなた自分が言っていることがわかっているの?!』
「私はお前を妃にする。古代エジプト王の妃」
『メンフィス!私は貴方の妻にはなれないのよ!!私はこの時代の人間ではないのよ!!』
「名前##なにを言っているんだ?マリアそなたの言っていることはわからぬ!!」
『あなたは理解しようとしてないだけよ!私は貴方のことを愛していないの!私が愛するのはあの方ただおひとり!!だから、貴方とは結婚できないのよ!!』
「な、なにー!!」
『私には夫がいるんだから!!』
「マリア・・・私はお前を愛している!!おまえの夫より愛している!!お前は私の妻に、エジプトの王である私の妃となるのだ!!」
言っていることがめちゃくちゃだわ!!
夫がいると言っているのに妻に、妃になれだなんて!!
ああ、私がヒッタイトの皇妃であると言えたらいいのに・・・!!
『メンフィス私には無理なのよ!だからあなたはお姉さんであるアイシスと』
「マリア許さぬ、許さぬぞ!!この国で最も権力を持っているのは私だ!!私が妃にするというのだからそなたは我が妃になるのだ!!私はマリアしか欲しくない!!そなたの夫を殺してでもマリアお前を手に入れる!!」
『メンフィス・・・』
どうしてそんなに私を───
「はあはあ」
「いけない!!早く宮殿へ!!」
『メンフィス!しっかりして!!』
倒れそうになったメンフィスを私だけの力では支えることが出来なくてメンフィスを追ってきたミヌーエ将軍が一緒に支えてくれる
「#怠け#、一緒に来て王の看護をして下さい」
『メンフィスの看護を私が?』
「お願いします」
『・・・・・・わかりました』
無理をして私を助けに来てくれたメンフィスをほっておくことなんて出来るわけなくてミヌーエ将軍のお願いを私は受け入れた
その後やっぱり無理をしたメンフィスは熱が上がって魘されていた
私の名前を呼びながら───
「マリア・・・マリア・・・」
『メンフィス・・・』
私おかしいわ・・・私がお慕いしているのは陛下だけなのに・・・・
どうして、こんなにメンフィスが気になってしまうの・・・?
『私、は・・・』
いきなり眠気に襲われた私はメンフィスの寝るベッドに腕を枕にして寝てしまった
「マリア」
あなたはイシス・・・
「マリア貴女はもう戻ることはできません───マリア、貴女はこの世界で幸せになりなさい・・・」
イシス・・・
でも、私できないわ!!
陛下を裏切ることなんて・・・私にはできないのよ!!
「マリア・・・」
それなのに・・・それなのに私
私・・・メンフィスが気になってしまうの・・・
でも、私どうしても認められないのよ・・・
自分の気持ちを認められないの・・・
「マリア、今はそれでもいいのです。大丈夫です。貴女はきっと幸せになれます」
イシス・・・ありがとう・・・
私あなたに会えて良かったわ・・・
「マリア!!マリア!!」
『ん・・・』
「起きたかマリア!!」
目を覚ますと既に起きていたらしいメンフィスが私を見ていた
『メン・・・フィス?』
「また、そなたが看護をしてくれたのだな!!」
そうだ私メンフィスを診ていてそれで
『メンフィス!!気づいたのね良かったわ!!あなた高熱を出したのよ!!』
メンフィスにもう大丈夫なのかを聞いていると朝食を持ったキャロルさんがやって来た
「##NAME1##、朝食を食べ・・・!メンフィス気がついたの!!」
『キャロルさん私ミヌーエさんとナフテラさんを呼んでくるからメンフィスに飲み物を』
あげてと立ち上がろうとした私の腕をメンフィスがガシリと掴んだ
「マリア#行くな」
『メンフィス・・・』
「私が呼んでくるわ!!」
『あ、キャロルさん』
待ってとドアの方を向いた私をメンフィスが後ろから抱きしめた
「マリア」
『メンフィス!!は、離して!!』
「離さぬ!!」
『メンフィス・・・お願いだから』
そんなやり取りをメンフィスとしているとキャロルさんが呼んできたのかナフテラさんとミヌーエ将軍がいた
「お気づきになられたのですね!良かった」
「母上、私は皆に知らせてきます」
「えぇ、お願いしますミヌーエ」
メンフィスに本当に良かったと話しているナフテラさんとミヌーエさんにメンフィスの意識が向いた瞬間に私は逃げた
「待つのだ、待つのだマリア!」
と私を呼ぶメンフィスの声を無視して
prev / next