こんなところに来るのは初めてだ。
Ωという性で妊娠の可能性もあったからこれまではセックスなんてして来なかった。三月さんがお金をくれるというからしただけで、それまではなかった。
安いラブホテルなのか、薄暗く黄ばんだ壁。妙に長い廊下を三月さんが相変わらず俺を抱えたまま歩いて、部屋に向かっている。
がちゃ、と開けられたドア。身体がベッドにゆっくりと置かれる。それすら、もどかしい。
もどかしくて身体を捻る。どんな感触すら今は毒のようで、どうにかして欲しい。
俺は服の上から肌を掻きむしりながら、必死に三月さんを見上げた。この熱の収め方を三月さんなら知ってるし、出来る。
がたがた揺れる指で何とか前を下ろして、下着も脱ぎ捨てる。色気もクソもない。足をカエルみたいに広げて、穴に指を押し込む。
「ぁ、ん…ぅ」
指先に絡まるどろっとしたのを掻き出しては、前立腺に指を伸ばす。
「んっ、ん……とど、かない…っ」
三月さんの目の前なのに自分の熱を収めることしか頭にない。自分の指じゃ、相変わらず前立腺には届かないし、普段はオモチャを使って弄ってたから物足りない。
もっと、長いの。
汚れた指を伸ばして、こっちをじっと見つめる三月さんの手を取る。やっぱり三月さんは強いαだ。こんなΩのフェロモンには微動だにしないみたい。
でも、そんなのはどうでもいい。
長い三月さんの指を穴に充てがう。
「お願い、ぃ…っ、くだ、さいっ」
「…ああ」
にちゃ、と耳に残る卑猥な音。そして奥へと潜り込む長く太い指はあっという間に俺じゃ届かないし場所まで入って来る。
「あ、ぁんっ…あ、あっ」
「どうして欲しい」
どうして、欲しい?
そんなのたくさんある。たくさん、欲しい。
ナカをぐちゃぐちゃに掻き回してほしい。熱くて痒いナカを、どうにかして。
汗と涙とでぐちゃぐちゃな顔を覆う。発情期にαに求めるのは間違ってる。だめなのに。だめだと分かってるのに、本能が理性の壁をこじ開けて叩き割る。
「お、く…くださ、いっ…!」
「…ああ」
「いっ、ぱい…あ、あ、あ、ぁッ」
抜かれた指の代わりに杭が一気に突き刺さる。ビクビクと身体が震えて、目の前が真っ白。頭が麻痺するような快感がどろどろ溢れた。
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