「…何してんだよ」
「なんだもう上がったのか」
「んっ、ちょっとおじさん、だめっ」
風呂上がりに牛乳を飲もうと台所へ行けばナマエがリンゴの皮を剥いていた。その隣にはおじさん。彼女の腰に手を回して撫で回している。
「お前もう少し肉つけた方がいい」
「え!太くないですか?」
「その方が俺の好みだ」
オレがいるのにも関わらず、腰を撫で回す手を止めない。無性にイライラした。
「あ、オビト。リンゴ切ったけど食べる?」
こちらを振り返って、皮を剥き食べやすい大きさに切ったリンゴを素手で差し出してくるナマエ。
イライラしているせいか、おじさんがいるのにナマエに手を出したい衝動に駆られた。それを止めることができず、リンゴを持っている彼女の手首を掴み、口元へと持ってくる。
「ん、うまい」
最後にぺろりと彼女の指を舐めれば、リンゴよりも赤く顔を染めた。勝ったような気分でおじさんを見ると、実の子どもを見るような目でこちらを見ていた。オレは同じ土俵にすら立てていないのか。
(150701)
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