土曜の今日、朝から電話がきて「泊りに来い」とだけ言って切れた。泊りに行くことは初めてで、母親に恐る恐る友達の家に泊まっていいかと聞けば快く承諾してくれた。
「マダラおじさん、電話ありがとうございます」
「よく来たな。オビトは出掛けていて留守だが、直に帰ってくる」
今日も立派な着物だ。門の前で出迎えてくれたおじさんに頭を撫でられて背筋がぞくっとした。
家に入ってからは将棋を教えてもらったり勉強を教えてもらったりした。その間じっと見つめられている気がしたが、きっと気のせいだ。
「おじさん」
「なんだ」
「あの、ちょっといくらなんでも見過ぎじゃ…」
「そうか?ああ、そういえば柱間からリンゴもらったんだ。オビトが帰ってきたらみんなで食おう」
ここ最近マダラおじさんからの視線がすごい。オビトに父親的視線を向けながら私にもなにやら意味ありげな視線を送ってくる。
その後オビトが帰って来て、脱衣所に入ったのを見届けひと息つく。
「オビトの風呂は早いからな、リンゴの準備をしよう」
髪を後ろで一つに括りながらおじさんが笑った。
(150701)
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