「…お家大きいね…」
「だよな、無駄にな」
「やっぱりやめとく?公園に戻ろうか?ほら、ポ○モン持って来てるし」
「ここまで来たら聞くしかねーよ!」
公園でゲームやる分には文句はないけど、ここまで来たんだから交渉だ。でも確かにこんなデカい家だと気が引けるよな。オレも最初来たとき泣きそうになったし。
「…なんだオビト、友達か?」
「あ、ジジイただいま」
立派な門から立派な着物を着た立派なオレのおじさん。男のオレから見てもかっこいい。本当に血繋がってるのかよ。
ジジイと言ったからなのか、おじさんの眉間に少しだけシワが寄った。
「小童が。おじさまと呼べと何度言えば」
「いい歳して若作りしてるからだよ! この人あんな若々しくしてるけど実はもうすぐごじゅ」
「それ以上言えば夕飯はないぞ」
咄嗟に口を閉じた。それは困る。
「…えっ、つまり」
「そういうこと。なぁ!こいつ家にあげてもいいよな?遊ぶんだ」
隣で固まる少女を見て面白そうに笑うジジイ。絵面がおかしい。ちなみにもうすぐ50代ってのは親戚のイタチって奴から聞いた。ガセかもしれないけど。
おじさんは少し考えると門を大きく開けてオレたちに手招きをした。
「玄関で長話されると困るしな。上がれ。茶でも出そう」
茶菓子も出るといいな。
(150619)
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