「複雑な気持ちだ」
「そう?連れて来てくれてありがとう」
「どういたしまして。なんかなぁ…友達と自分のおじさんが仲良いってすっごく複雑」
仲がいいと言うより、怪しいカンケイへの発展途中みたいな?
「オビトのおじさんに会うの授業参観以来!楽しみ!」
「あーうん。オレも楽しみ…つかこの前だったろ、授業参観」
あれから事あるごとに「いつウチに来るんだ」と聞いて来るもんだからため息が絶えなかった。
「わたしオビトのおじさんの声だけ聴ければ生きていけそうな気がするの」
「…ん?」
「声だよ声」
「いやそれはわかる。声が好きなのか?」
確かにおじさんは渋くてかっこいい声だ。オレもあんな声になれたらいいのにとよく思う。男は顔より先に声か…なるほど。
「よく来たな。今日はなんだ?将棋か?双六か?」
客間でお茶とお菓子を準備して待っていたおじさんが笑いかけてくる。今日も立派な着物だ。
将棋も双六も今の小学生はしないと思う。
「だから、ディーエスだっての!」
「ああ、パチモンというやつか」
「それ違う意味。…おじさんもやる?」
「そうだな、仲間に入れてもらおう」
ちなみに今日のお菓子はマカロンというらしい。
「これはどうするんだ?」
「あ、ここはですね」
「……」
なんだこれ。なんで友達がおじさんの膝の上に乗って仲良くディーエスしてるところを見なきゃいけないんだ。近すぎないか。顔と顔の距離が近すぎないか?!
「なるほど。このボタンか」
感心しながらボタンを押して操作するおじさんを見ながらふと疑問を口にする。
「なぁジジイ、本当は50じゃないんだろ」
「さあな。ほらお前のパチモンが瀕死だぞ」
「パチモンじゃねーよ」
一体いくつなんだ。
そしてやっぱりこの二人は恋愛感情なのか。本当に15年待つのか。おじさんは赤いちゃんちゃんこを着るのか。
あーあ、考えたくねえ。
(150619)
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