上を向いて声を掛ければ、オイラの隣に着地した。起爆粘土を体一つで避けるとは大した速さだ。

「なまえだっけか?オイラはデイダラってんだ」

「小南さんから聞いてる。隣の部屋になったなまえだ。歳は18」

荒々しくソファーに座りながら吐き捨てるように言った。いきなり攻撃を仕掛けたことをまだ怒っているのだろうか。
こちらを睨んでくる新入りを横目で見て溜め息を吐く。

「年下かよ」

てっきり同い年かと思っていた。身長も自分とそう変わらない。
しかもよりによって隣の部屋か。

「私と一番歳が近いと聞いた。できれば仲良くしたい」

なまえの言葉を聞いて胸が熱くなるのを感じた。面と向かって仲良くしたいなんて初めて言われた。そうかこれは恥ずかしさと嬉しさが混ざって胸が熱くなっているのか。

「初めてそんなこと言われたな。…つーか、お前声高いな。女みてぇ」

「まさかとは思うけど…サソリさんと同じ間違いを?」

「旦那と同じ…?お前男じゃないのか?うん?」

そう問えばなまえはがっくりと項垂れた。この反応からしてコイツ女か。
女なら女と何故イタチは訂正しなかったのだろうか。やっぱアイツは気に食わねぇ。

「正真正銘、私は女です。証拠見せてやろうか!?」

「そんな怒るなよ、うん。忍に性別なんて関係ないだろ」

カッと目を見開いて怒鳴るなまえ。
一目見たくらいなら男に見えるその格好。イタチが普段着ているものと似ている。

「そんなに私には魅力がないのか…そうか…こんなんだから男ができないんだ畜生…」

嘆くなまえをじっと見てみる。別に顔は悪い方ではない。魅力も皆無とは言えない。第一、初見があの言動じゃ、男と間違えられても仕方がないだろう。

「仲良くしてやるよ。だから落ち込むな」

「意外と優しい奴なんだな…金髪ロン毛髷」

今なんか変な単語が聞こえた気がしたがあえて聞き流す。この女、失礼にもほどがある。



「おっ、さっきの新入りじゃねぇか!」

「初めまして」

一気に騒がしくなった。
飛段が儀式を終えたのだろう。だからあんなに静かだったのか。恐らく、なまえが来る前からしていた。そうなると少なくともコイツは儀式を視界にいれている筈。
暁メンバーは飛段の儀式を知っているが当然なまえは知らない。アイツのM行為を見て眉一つ動かさないとは…コイツ相当図太い神経してやがる。

「ジャシン教に興味ねぇ?」

「ありません」

ばっさり切り捨てた。
飛段はつまらなさそうに頭を掻く。はっ、ザマアミロってんだ。

「つれねぇこと言うなよなまえちゃん」

「抱きつくな変態」

「何やってんだよ飛段。なまえから離れろ、うん」

「よく言うぜ、こんなイイ女を男と間違えてた奴がよぉ」

イイ女、という言葉に飛段に抱きつかれているなまえが拒絶反応を起こしたように見えた。この馬鹿、なまえが女って分かってたのかよ。何だか悔しい。

「飛段…っていうの?ああもう暑苦しい離れてくれ」

「よし飛段、歯ァ食いしばれ」

「おまっ、こんな至近距離で起爆粘土…」

「デイダラ!私がいることを忘れるな!」

「喝!」

爆発と共に煙が立ち込める。
煙が引くとなまえの姿がない。あの爆発の中、逃げたのだろう。

「おい起きろマゾ野郎」

「いってェ…!」

倒れている飛段の腹を蹴り飛ばす。
飛段は起き上がるとニヤニヤと笑みを浮かべた。なんだコイツ蹴られて嬉しいのか。

「デイダラちゃんにも春が来たな」

わけわかんねぇ。



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