小南となまえが出ていき、続いてリーダーが出ていく。彼は扉に手を掛ける際に「仲良くやれよ」と言い残した。犯罪者と仲良くなんてなまえからしたら無理だろう。


「なぁ、イタチ。お前弟いたのか?全然似てねぇな、うん」

デイダラは興味津々の様だ。なまえが出ていった扉の方に目をやっている。
そんなことより、こいつは今何て言った。弟?なまえが?色々訂正してやりたいところだが、なんだか癪なので黙っておく。

「馬鹿かてめぇは。イタチの弟なら、うちはって名乗るだろ」

生憎だがお前も馬鹿だサソリ。肝心なところに気付いていない。他のメンバーも何も言わない。まさか全員、なまえを男と思っているのか?冗談は止してくれ。
サソリの言葉に不思議そうな顔をするデイダラ。訳が分からなくなったようだ。今度、術だけでなく頭も鍛えなければ。

「え?じゃあアイツはイタチの何なんだ?」

「…昔、近所に住んでいた奴だ」

「へぇ。偶然にしては出来すぎだよなぁ?旦那」

「俺に振るな」

デイダラをひと睨みし、広間からサソリは出ていった。サソリを見送りながらデイダラがわざとらしく「おー怖」と言っている。俺はただひたすらデイダラがどうすれば戦闘時だけではなく、日常においての頭の回転率が上がるか考えていた。そこに興奮状態の飛段が乱入してくる。

「面白ぇ新入りが入ったな!早速ジャシン教に…」

「一々ジャシンジャシンうるせぇんだよお前は!うん!」

飛段とデイダラの言い合いが始まった。飛段のストッパー役でもある角都の姿を探せば彼はこの騒がしい中、黙々と読書をしていた。止める気はないようだ。
そしてあまりにも騒がしいのか、ゼツが姿を消す。あいつ逃げたな。

「全く…うるさいですよ二人とも。夕飯抜きにしますからね!」

鬼鮫がはっきりと言い放つと瞬時に二人の口が閉じる。
お前は母親か。



自室に戻り、ベッドに腰掛け、先程なまえが言った言葉について考える。ブラコン呼ばわりには目を瞑ろう。問題はサスケの様に憎んでいない、その発言だ。普通だったら友の一族を皆殺しにし、抜け忍して消息を絶った人間のことなど憎むに決まっている。それが親しい友なら尚更だ。

嗚呼、そうか。思い出した。
なまえは普通なんかじゃなかった。



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