丑三つ時。
暁に新入りを入れた、とマダラに報告する。すると彼は仮面に開いている穴から写輪眼を覗かせた。駄目だったのだろうか。
「どこの里だ」
「お前と同じ木の葉隠れ。そこそこ名が知れてる抜け忍だ」
「サスケか?」
「無茶を言うな」
仮面の奥でマダラが笑う。もしかして今のは冗談か…?
「ペイン。お前がその新入りの実力を認めているなら文句は言わない」
「そうか」
「しかし、どれ程の忍なのかはこの目で確かめたい…よって三日後、実力テストを行う」
「急だな。場所はどうする?」
そう問えば、ぐるぐる仮面は少し考えた後、仮面の穴に吸い込まれて消えた。つまり自分で考えろってことか。
日が登り始めた頃、昨日来たばかりのアジトへたどり着いた。アジト内は閑散としており、物音一つしない。確か角都と飛段は任務があっていない筈だ。だからこんなに静かなのか。飛段の騒がしさはこの先も治ることはないだろうな。内心ため息を吐いてなまえの部屋へと向かった。
ドアの前に立ち、数回ノックをする。しかし返事は一向にこない。ドアに手を掛けると鍵がかかっていなかった。
「なまえ」
自分の声が部屋に響く。
多分、散歩か何かだろう。逃げることは有り得ない。こちらにはイタチがいる。
イタチと言えば…あいつならなまえの居場所を知っているかもしれない。
どういうことだ。
イタチも部屋にいない。
デイダラはまだ寝ているだろうし、鬼鮫は朝食の準備をしていることだろう。サソリの部屋にでも行ってみるか。もしかするとイタチがいるかもしれない。デイダラから聞いたがあの二人は妙に馬が合うらしい。今度あの二人でツーマンセルを組ませようか…。
そう考えながらサソリの部屋へ向かった。ドアをノックし、返事を待たずにドアを開ける。
部屋に入ると異様な光景が視界に飛び込んできた。イタチが頭を抱え、それを面倒くさそうに見ているサソリ。
俺は直ぐになまえと連絡を取った。そしてサソリに迎えに行くよう指示をする。
「イタチ、そう心配するな。なまえはすぐ帰ってくる」
外にいるサソリになまえの居場所を伝え終わり、いまだ頭を抱えているイタチに話し掛けるが返事は無い。
暫くしてゆっくりとイタチが口を開いた。
「何故、なまえなんだ。暁に相応しいのは他にも沢山いるだろう」
「…三日後、なまえの実力テストを行う。マダラの命令だ」
イタチが顔を上げた。その顔に表情はなく、ただ俺を見ている。
「マダラは来るのか」
「ああ。新入りを自分の目で確かめたいらしい」
イタチの眉間に皺が寄った。
目の前で不機嫌オーラ全開な男の機嫌をなんとか良くしようと考えを巡らせていると、通信を繋げたままのなまえから呼び掛けられた。俺はイタチが大変だと言い、次にサソリが迎えに行くと言うことを伝え、通信を切った。例え敵と鉢合わせてもあいつなら大丈夫だろう。
「俺がどう大変なんだ」
黙っていたイタチが怪訝そうに聞いてきた。今にも天照を使い暴走しそうな男のことを大変と言わずになんと言うのか。
「サソリや俺からしてみれば十分に大変だ」
「そうか。ところでリーダー」
「なんだ?」
「なまえが帰ってくるまであいつの昔話をしてやろう」
デイダラの叫び声が上がるまで延々と話を聞かせられた。
(111010)
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