「あれ、ここにいたのかなまえ」

「喚きながら入ってくんじゃねぇよクソガキ」

ずいっと私に近付くデイダラの髷を掴むサソリさん。私もやってみたい。

「いててててて!そこ掴むな!」

「おいなまえ。コイツに何かされなかったか?」

「旦那それどういう意味」

ぐいぐいと髷を引っ張り始めるサソリさん。デイダラは涙目だ。本当に私もやってみたい。

「大丈夫です。蜘蛛みたいなものは回避できました」

「へぇ…あれをか」

デイダラの髷から手を離したサソリさんの目が異様に輝きだす。まるで新しい玩具を見付けた子供のように。
気付けばその目に私が映っていた。

「んー…十人並みだな。中性的といったところか…」

鼻と鼻が触れ合ってしまってもおかしくない距離にサソリさんの整った顔があった。私の隣ではデイダラがこの世のものとは思えないという目をサソリさんに向けている。

「いずれコレクションにしてやろうと思ったが、やめだ。これからよろしくな、なまえ」

目を逸らし顔を離す。極悪人面とはこのことか。脳裏に嫌と言うほど焼き付いた。
隣にいるデイダラが囁く。

「旦那の変なスイッチが入っちまったらどうしようもねえ。残念だったななまえ」

「どういうことだよ。変なスイッチ?」

そう問うと金髪を揺らしながら意味深長な笑みを浮かべる。どうやら答える気はないようだ。

「…で、デイダラは何しに来た」

「なまえと仲を深めようと思ってな」

乱された髷を結い直しながら挑発するような目をサソリさんに向ける。でもこの際そんなことどうでもいい。私はガッとデイダラの肩に腕を回した。

「よっしゃ友達ゲット!」

「オイラも男友達ゲットだな、うん」

「誰が男だ金髪髷。その目は節穴か」

「そんなまな板、誰が見たって男と思うぜ?」

再度、傀儡を弄りだしたサソリさんが嘲笑する。そこまで言われると堪忍袋の緒が切れそうだ。これにはちゃんと意味があってつぶしている。つぶさなければ人並みのサイズくらいはあるだろう…多分。
それにしてもこの二人の言い方は妙に癪に障る。

「いつかその言葉を後悔する日が来ますよお二人共!腹立ったんでちょっとイタチ兄さんのところに行ってきます」




「あーあ。行っちまったな、うん。どうする旦那?」

「何がだ。…用がないなら出ていけ」

「旦那もなまえと友達になれるといいな…笑える」

「そうか。殺されてぇのか」

「今のは無し」



(110810)
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