サソリが死んだ。
飛段と角都が死んだ。
デイダラが死んだ。
イタチが死んだ。
リーダーが、小南が、鬼鮫が。
月の眼計画とやらは、私が望む世界を作ってくれるのだろうか。

「お前もしぶとく生きるな。そんなに暁が大事か」

かつてトビと名乗っていたこの男は今ではうちはマダラ。とっくに死んでいるはずの過去の人である。

「まぁいい。月の眼計画はお前の望み通りの世界だ」

「成功するといいね」

「甘ったれたことを…。成功させるのだ」

仮面の向こうで彼がどんな顔をしているのかは分からないが、きっと表情などない。

「トビ。暁は非道で人間性のかけらもない奴らばっかりだったけど、みんな其々に想いがあったと思うんだよね」

「……」

「そうそう。私、この戦争から身を引くことにしたの。こんな女一人の力では何も起こせない。どこか遠くで月の眼計画の成功を祈ることにするよ」

「好きにしろ」

それが最後。私は暁の衣を捨て、できる限り遠くへ遠くへと歩いた。ひたすら歩いた。

しばらくして、終戦したとの知らせが耳に入った。主犯のうちはオビト、うちはマダラは死んだらしい。トビがどっちかだなんてこの際どうでもいい。
これで暁のことを想い、悲しむのは私だけになってしまった。私が死んだら誰があんな喧嘩っ早くて目つきの悪い連中のことを思い出してあげれるんだ。
墓もなく、手を合わせてくれる人もいない彼らに、手を合わせ、花を手向けるのは私しかいない。天国で幸せに楽しく、なんてのは綺麗事だ。人を殺め、数々の国を滅ぼした奴らがそんなところに行けるはずがない。
二度と、彼らに会うことはない。
そう自分で出した結論に絶望した。誰かが幸せだと笑うと、誰かが不幸だと嘆く。私はその後者だ。
時代は移り変わり、火影があの九尾の少年になったらしい。
もう、暁が恐れられる時代は終わったのだ。


(150701)
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