※小南 男体化につきご注意




角都に頼まれた金儲けの任務を済ませてアジトへと帰ると、リーダーと知らない男の人が出迎えてくれた。

「おかえり、待っていたんだよ」

男はそう言って笑った。笑顔を向けられているが、誰なのか皆目検討もつかない。もしかして新しいメンバーなのだろうか。新入りだとしても、こんな親しげに接してくるのは有り得ない…と、頭を捻っていると

「分かっていないみたいだぞ」

リーダーが隣の見知らぬ男に視線を移しながら言った。

「やっぱりか…」

男は呟くと何処からともなく、紙で作られた花束を私に差し出した。
それをみた瞬間、合点がいった。

「もしかして、小南?!」

「そうだよ。その反応とっても可愛いね、抱きしめたいよ」

色気たっぷりの笑みを浮かべる小南。隣のリーダーは相も変わらず無表情だったが、心なしか呆れているようだ。

「どうしてこんなことに」

「それがわからないんだ、小南が言うには朝起きたら既に…」

「女の時より、こっちの方が何かと便利だね。さぁおいで」

「小南性格変わった?!」

先ほどから思ってはいたが、女性の時の小南と性格が違うような気がする。腕を掴まれ、小南の胸に引き寄せられた。

「一度こうしてみたかったんだよ」

「小南、戯れ事はその辺にしておけ。嫌われるぞ。もし他の奴らに見られたら…」

リーダーはそこまで言うと言葉を切った。ほんの少しだけ眉間に皺を寄せて私がさっき入ってきた入り口を見る。誰かいるのだろうかと目を向けると、

「……」

イタチが微妙な顔をしてこちらを見ていた。

「任務は終わったのかイタチ」

「…ああ」

明らかに小南を不審そうに見ている。

「……」

「姿が大きく変わってしまったが、小南だ」

リーダーがそう言うとイタチは片眉を僅かに上げた。…というか小南さん早く腕を離してください。

「そうか、小南か。俺の見間違いで無ければ、その手をどけてもらえないだろうか」

「イタチ、羨ましかったら女にでもなれば」

勝ち誇ったようにフフンと鼻を鳴らす小南。そしてこれでもかと力いっぱいに私を抱きしめた。その力が強すぎて、骨がミシミシと悲鳴を上げた。

「まぁまぁ落ち着け」

「俺でさえまだしたことがない…」

今にもこちらに飛びかかりそうな勢いのイタチを羽交い締めにするリーダー。何やら聞こえたが、聞かなかったことにしたい。

「えっと、小南?色々と誤解されると思うから離してくれない?」

「はぁ…もし男になったらと色んなシチュエーションをしていたんだけど、現実はうまくいかないものだね…」

ゆっくりと腕を離す。色んなシチュエーションとは何なのか。気になるが、聞いたら後悔するような気がする。

「小南、許さんぞ…」

「やめろイタチ天照はやめろ!」

「構うものか!」




「って夢を見たの。小南、私疲れているのかな」

「そうね、ちゃんと睡眠とってるの?」

「多分…」

「…あとアナタに言わなきゃならないことがあるの」

「なになに?」

「実は私…」

小南が続けて言った言葉は聞こえなかった。
我に返り、瞼を開ける。どうやらソファーで寝てしまっていたようだ。隣にはイタチが座っていた。突然起きた私を心配するような目で見ている。

「大丈夫か、だいぶ魘されていたが」

「ちょっと変な夢を見てね…」

「…夢といえば、小南が実は男でお前を誑かすという悪夢を最近よく見る」

私もイタチもきっと疲れている。


(150517)

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