草木も眠る丑三つ時。
長期任務が終わり、今回の相方ゼツとフラフラしながらアジトへ帰ってきた。チャクラも体力も使い果たして視界がぼやける。返り血や泥で汚れたコートを脱ぎ捨て、風呂場へと向かう。後ろの方でゼツが脱ぎ捨てるなとか言っているが無視だ無視。とにかく一秒でも早く風呂に入って血や疲れを落としたい。

「……」

「今帰ったのか」

見ていない。私は何も見ていない。きっと疲れすぎで幻覚が見えているんだ。困ったな。
パタンと静かに脱衣場のドアを閉める。そして今視界に入れてしまった男の半裸を頭から消そうと軽くこめかみ辺りを叩く。
するとドアが開いた。

「何故閉めた。入るんじゃないのか」

「なんで閉めたのに開けるの!?確かに外の立て札を見ず入った私が悪いと思うよ!ごめんね!?早く上を着て。私を風呂に入らせて」

「俺も今から入るところだ」

「つまり何が言いたいの」

「一緒に入ろう」

言葉が出ない。この男は一体何を言っているのだろうか。年頃の男女二人が一緒に風呂に入るなど論外だ。
不意に手首を掴まれ、脱衣場に引き込まれる。

「随分と汚れてるな」

「長期任務だったからね…なかなか風呂に入れなくてさ。ところでイタチさん、その手を離してもらえませんか」

「断る。背中でも流してやろうか」

私の忍服にイタチが手を伸ばす。どうやら脱がせる気のようだ。冗談じゃない、今の自分はチャクラも体力もそこら辺のアカデミー生より無いというのに。こんな下心見え見えの男と入浴なんぞできるか。

「イタチいい加減にしてよ」

「風呂に入るんだろう?俺が洗ってやる」

「まず鼻血を拭け」

その後、イタチが鼻血を拭いている隙に脱衣場から飛び出し鬼鮫の元へと向かった。この際、水でもいい。一秒でも早く血と泥を落としたい。

「鬼鮫ええ!水遁よろしく!」

「またですか。たまにはイタチさんと風呂でも入ってやってくださいよ」

「いいから水遁」

「少しは夜中に起こされるこっちの身にもなってください…仕方ないですねぇ」



次の朝、起きて早々リーダーに叱られた。理由はアジトが水浸しだったからだ。どうやら鬼鮫はあの後、水の処理をしてくれていなかったらしい。なんてことしてくれるんだ。

「次回から水遁を用いての水浴びは禁止だ」

「えっ」

「風呂はあるんだからちゃんと風呂に入れ」

それはイタチに×××されろってことなのかピアスリーダー。畜生、イタチの野郎こっちをニヤニヤしながら見るなよ。……嗚呼そうか。


銭湯に行けばいいのか。



(110919)
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