苛々する。
頭の中が真っ赤で、身体中の血が沸々と沸騰しているような感覚。
拳を握れば爪が食い込む。肉が裂けようと全く気にならない。遂に握った拳から一滴、二滴と血が滴った。

「…落ち着け」

黒い手袋がはめられた大きな手が自分の手を包み込む。しかし、それには温度が感じられない。
目の前にはぐるぐるとしたオレンジ色の仮面。右の穴からは真っ赤な瞳がこちらを見ている。

「これが落ち着いていられるか」

マダラの手を振りほどき、彼の顔面に向けて拳を振り上げた。だが簡単に止められてしまう。

「そんなに怒るな」

「誰のせいだと…!」

「俺だな」

カタリ、と音を立てながらふざけた仮面を外す。マダラは薄い笑みを浮かべて私の耳元へ唇を寄せた。

「機嫌直しに構ってやる」

鼓膜を痺れさせる吐息混じりの声に腰が砕けそうになる。

ほら、まただ。こうやっていつも私はこの男に感情を左右されてしまう。



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