苛々する。 頭の中が真っ赤で、身体中の血が沸々と沸騰しているような感覚。 拳を握れば爪が食い込む。肉が裂けようと全く気にならない。遂に握った拳から一滴、二滴と血が滴った。 「…落ち着け」 黒い手袋がはめられた大きな手が自分の手を包み込む。しかし、それには温度が感じられない。 目の前にはぐるぐるとしたオレンジ色の仮面。右の穴からは真っ赤な瞳がこちらを見ている。 「これが落ち着いていられるか」 マダラの手を振りほどき、彼の顔面に向けて拳を振り上げた。だが簡単に止められてしまう。 「そんなに怒るな」 「誰のせいだと…!」 「俺だな」 カタリ、と音を立てながらふざけた仮面を外す。マダラは薄い笑みを浮かべて私の耳元へ唇を寄せた。 「機嫌直しに構ってやる」 鼓膜を痺れさせる吐息混じりの声に腰が砕けそうになる。 ほら、まただ。こうやっていつも私はこの男に感情を左右されてしまう。 (110828) |