inzm
2012/04/28 11:20
間宮は、いつだって自分に遠慮がちに生きていたような気がする。今日だってプレゼントを渡せば泣き出してしまったし、訳も分からず理由を聞けばあたしなんかに勿体ない、だそうだ。間宮。溜息を一息吐いて、その涙を拭った。思わず頬に触れたけれど、それは酷く熱くて、だけど間宮の頬の熱なのかそれとも俺の指の熱さなのだか、よく分からなかった。

「…自分なんか、じゃなくって、さ。もっと、自信もてよ」
「だっ、て。あたし、何にもないのに、」
「それでも、今日沢山の人にお祝いしてもらってたろ?」

それは、みんな他の誰でもない間宮のためにしてくれたことだから。俺も妬けるくらい優しい人に囲まれた。だけどそれは間宮、間宮のその控え目な優しさだとか、そういうものの賜物だったりするんじゃないのか。…本当はこう言ってあげたかたったけれども、間宮の前だとどうも緊張してしまう俺は、ポツリ、ポツリと不器用に声を漏らすだけだった。だけども間宮はじっと俺を見ていた。
上手く言葉に出来ず、もう一度間宮に向かい合う。桜色の瞳に吸い込まれそうで、もしそれが叶うのならどれだけ幸せだったのか、とさえをも思った。


「と、にかく。俺は、間宮が生まれてきてくれて、嬉しい、から。」
こう言ったら、また間宮は泣くんだろうな。「…は、はん、だ」案の定、間宮はまたわんわんと泣き出した。俺の制服の裾を掴むその小さな手が、いつか、俺に触れてくれますように。馬鹿みたいに、そう願ってしまった。俺は初めて恋を知ったみたいに、いつだって戸惑っては立ち止まって、不器用に手探りに進んでばかりだ。

「…間宮。誕生日、本当におめでとう」

これからも、この俺の大好きな泣き虫な女の子のためにこうして祝ってあげられたら、いいのだけど。間宮は、泣きながら顔をあげて、それから弾けるような笑顔をみせてくれた。

「何もないあたしに、本当に、ありがとう。」

間宮は、何もなくなんか、ないよ。だってこんなにも、俺の胸はいっぱいで仕方がないから。まあ、そんなことも言える筈もなく。いつだって言いたかった言葉は喉の奥で詰まり、埋もれていった。俺は何も言えずに、とりあえずぶっきらぼうに「…ん。」と声を出すのにせいいっぱいだ。間宮はそれでも、優しく微笑んでくれた。願わくば、いつかは言えなかった言葉を伝えられると、いい。それで間宮が笑ってくれるのなら、もっと、いいのだけど。


4/28 Happy Birthday!!美桜



***
みおみおお誕生日おめでとう!
みおみおのおかげで知り合えた人も多いし、やっぱり、みおみおは一番思い入れのある夢主です。

超次元が行き交う世界で普通の恋する女の子、というしかも相手が半田という、何とも無謀で誰得な設定を与えたばかりに、自分に自信がない子になっちゃったけどそれでも、いつか半田や色んな人と関わる中で自分には何もない、じゃなくて自分の良さに気付いてほしいです。
何だか語ってしまったけれど、とにかく美桜の良さは"沢山の素敵な人たちに恵まれた"ということだと思います。皆がいるから、こんな普通な子でも輝くのだと、そう思います。

お祝いしてくれた、むう、央たん、にいちちゃん、律騎ちゃん
そして、昴ちゃん、玲央くん、翔ちゃん、いおちゃん、さおちゃん、みふみふ、沙雨ちゃん、冬兄さん、亜子ちゃん、美雪ちゃん、仁菜ちゃん、瞬姉、真雪姉、涼さん、伊槻先輩、和戸くん、悠ちゃん
本当に、本当にありがとうございました!こんなたっくさんの人にお祝いしてもらえて幸せ者だね!

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