inzm
2012/04/27 16:05
あ、れ。何だか頭がぼうっとする。身体の内側が熱いような、だけど少しだけ寒い。関節の辺りがぼんやりと酷くだるく、足元はふわふわとして重い。
どう、したんだろう。
「間宮ー、タオルもらえるかー?」
遠くで円堂が呼ぶ声がする。い、いけない、今は部活中なんだから。足を踏ん張って、部員の方へと向かう。今は部活中だから、みんなに迷惑なんかかけてられない。あたしなんかが、みんなに迷惑かけちゃいけないんだ。悲鳴をあげる身体にひたすら鞭を打つ。あと少しの辛抱、我慢だ。

「10分間、休憩ねー」
「あれ、間宮。」

そんな中、半田があたしに声をかけた。思わず肩が、跳ねる。ああもう、どうしてあたしなんかに気付いてくれるの。


「間宮、顔、赤く、ないか?」
「え、い、いや。そんな」
「…何かふわふわしてるし。いつにもまして危なっかしい、というか…」
「だ、大丈夫だから!」
思わず伸ばされた手を、振り払ってしまった。一瞬だけ、半田は瞳を見開く。ち、違う。本当はその手に甘えたかった。だけど、あたしなんかが甘えちゃいけないんだ。何も出来ないあたしは、せめて一人だけでも自分だけでもしっかりしなきゃ。みんなに迷惑かけてられない。
半田の顔を見たら、何だか泣き出しそうになってしまった。ああ、何であたしってこんなに可愛くないんだろう。


「ご、ごめ…はん、だ。その…あの、」
だけど。思わず半田の手を、もう一度掴んでしまった。
何もないあたしだけど、それでも、諦めきれなかった。ねえ、半田、半田だけは、あたしは諦めたくなかったんだよ。
半田は驚いてあたしを見つめていた。あたしは何をやってしまったんだ、としどろもどろに言葉を重ねる。あ、れ。さっきよりも頭がぼんやりして、何だか視界も――

「間宮!」
ぼんやり、薄々と消えていく記憶と視界の中で、最後に覚えているのはあたしを掴む彼の腕の感触と、本当に慌てた顔でした。馬鹿みたいだけど、何だかあたしは、彼に触れられたことが酷く嬉しくて、幸せな心地がしたんです。こんなあたしでも、気付いてくれる誰かがいるんだなあ、って。本当に、馬鹿みたいだけども。



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これ、風邪ネタではなくね・・書いてから気付いたったー
みおみおは多分、中々自分のこと押し出せるタイプではないので、風邪ひいても迷惑かけまいと誰にも言えなさそうです。

半田は半田で、手を振り払われたことが何だかショックで、みおみおが倒れたあとも本当は自分が保健室に運びたいけど自分がやっていいのかな、とか悶々悩んでいれば!いいな!誰かが行けって背中押してくれたら!いいな!

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