※おまけです※



 勇人はプリンの容器をシンクに置いて、何となくベランダの洗濯物をぼうっと見ていた。
 仕事に着て行ったけど洗うのが面倒で溜めていたシャツがいっぱい。それとスカートとリボンタイとえっちな下着……ん?
 勇人はベランダに続くガラス戸を開けた。干してくれたのはありがたいことなのだが、薫はすごく適当に干している。下着がピンチハンガーの一番外側に干されていて、道路から丸見えだ!
 さらによくよく見ると、男物の服の中の目立つところに堂々と制服。まるで社会人が女子高生を連れ込んでいかがわしい事をしたように見えてきた。干し方! 干し方!

 いかにもボク何でもできますみたいな顔して、こういう所は適当なのかよー!

 普通の成人男性の干し方なんてこんなもんである。勇人は何だかおかしくなってきた。とりあえず下着と制服を道路から見えないように干し直して……スマホに話しかけた。音声入力だ。


「筑前煮のレシピを教えて」


 ぱっ、と幾つかのサイトが開いた。醤油のメーカーが紹介しているページを見て、スマホのメモにコピペする。鶏肉・れんこん・にんじん、ごぼうに生しいたけとこんにゃく。
 買い物に行こう。いつもはお弁当とビールしか買わないスーパーで、袋一杯に野菜や肉を買いたい気持ちになった。練習をしてみたかった。いつ食べに来たいと言われてもいいように。
 ふふ、と勇人は微笑んで……着替えて家を出た。頭を撫でるように吹く風が、勇人の髪の毛を揺らして、襟足をくすぐった。




- ナノ -