「あっ、あっ、あああっ! あんっ、あん、あああああ!」

 先ほどまで恋人に泣きすがりながら愛を囁いていた口から、喘ぎとよだれが漏れる。
 亮は奥まで一度入れて、引き戻す。高い雁首が大きく開き、真木緒のナカをまんべんなく容赦なく削り取っていく。ひっかかれて、前立腺をこすりあげるようにして突かれる。それはずっとタツヤにしてほしかったこと。

「あっぁぁああああああっ! しゅご、おっきいぃ! んおっ、お゛っ」

 スマホに顔を押しつける。タツヤから見ると、画面いっぱいに真木緒のヨガリ顔が表示されている。涙をまだこぼしながらも舌を突き出し、頬を真っ赤にしながら快楽でとろけたメスの顔が。

「真木緒くんのナカ、きもちいー。そろそろ出すよ? おら、締めろっ!」
「お゛っ、おあ゛っ、あ゛っ、あ゛っ……!」

 ばちっ、ばちっ、とお尻を叩かれるたびに括約筋を締めつけてしまう。腰をがっしりと掴む力強さ。みっちりと絡みつくお尻の肉に押し当てられる、逞しくてそそりたつ雄の象徴。

「あ゛あ゛あ゛あ゛、イ゛グ! イクイクイクイク! イッちゃうううううう!」
「他の男のチンポハメられて、ナカにたっぷり精液出されてイケ!」
「いやぁ、いやっ! ナカだしやだっ、やだぁ! あああああっ!」

 亮の太ももが震える。びゅっ、びゅるる、びゅるっ、と真木緒の体内に射精した。真木緒の体内に生まれて初めて、どろどろの精子がまき散らされる。
 膨らんだ亀頭が、ぞり、ぞり、と内壁をこすって外に出ていく。じゅぷ、と性器を抜くと、ナカからあふれ出てくる精液。
 亮はティッシュで性器を拭いて、真木緒のお尻に無造作にアナルプラグをはめこんで栓をした。息も絶え絶えの真木緒はびっくりして亮の方を見る。

「な、なんで……こんなの入れるの……」
「タツヤと約束したよね? 行為の動画を送る事、そして帰りはシャワーを浴びずにすぐ帰る事」

 精液でべっとりと汚れたお尻。涙と鼻水でぐちゃぐちゃの顔。まだ亮に掴まれた所の生々しい感触。乳首に残る歯型。全部全部、洗い流したいものばかりだった。しかし、真木緒はタツヤとの約束を忘れていた。タツヤにお願いして、ボディシートで最低限の汚れだけ拭きとって、泣きながら服を着る。
「じゃあそろそろ通話切って、真木緒くんをタクシーに乗せるね。バイバイ、タツヤ」
 タツヤは何も言わなかった。亮はにこにこと微笑んで手を振る。そしてそのままスマホの画面を操作して通話を終えた。
 それから服を着終わった真木緒を見る。タツヤと話していた時とは全然違う。冷たい表情。蔑むような目。真木緒は震えあがる。まともに亮を見られないのに、亮は顎に手をかけて真木緒と無理矢理目を合わせる。

「……真木緒くんさー、俺のこと嫌いでしょ。顔に書いてあるよ」

 真木緒は動揺が隠せない。亮とは初めて会う。全く知らない、面識のない人から向けられる、むき出しの悪意。全然優しくない。どうしてこの人はこんなに怖いんだろう。そう思いながら、素直に頷く。
 亮はにっこりと笑って、耳元で囁いた。


「真木緒くんと会うの初めてだけど……俺も真木緒くんの事、嫌い。ずっと前から、お前なんか大嫌いだ」


 真木緒はタクシーの中でずっと亮から言われたことを考えていた。初めて会う人にすごく嫌われていたけど、心当たりはもちろんない。嫌いなのに、セックスできるの? なんで?
 タクシーがタツヤの住むマンションの前に停まった。お金を払って外に出て、タツヤの部屋に向かう。そわそわしていた。アナルプラグが気になるし、臭いが漏れ出ないか、タクシーの運転手さんやすれ違う人にばれていないか心配だった。
 チャイムを鳴らすと、すぐにタツヤが出てきた。思わず目をそらした。真木緒がうつむいていると、タツヤが手を強い力で引っ張って家の中に入れてしまう。

「真木緒、真木緒! ごめん、こんなことさせて本当にごめん……帰ってきてくれて、ありがとう……」
「たっちゃん……!」

 玄関で立ったまま、真木緒は抱きしめられた。温かい身体。ほんのりと漂うせっけんの匂い。いつも通りの優しい恋人だった。安心して、ほっと落ち着いて……真木緒の目に涙がじわりとにじむ。

「こ、こわかった……すごくこわかったよ…………たっちゃんじゃなきゃ、いやだよ……!」
「ごめん! もう絶対こんなことさせないから……病院の先生に相談して、ちゃんと治療するから……!」

 泣きじゃくりながら、真木緒はタツヤの胸元に額をこすりつける。ふと、膝のあたりに何かが当たっていた。三か月ぶりに膨らみ、大きく勃起したタツヤの性器だった。

「あ…………た、たっちゃん、おっきくなってる……」
「ごめん……亮から送られてきた動画を見てたらこんなになっちゃってて……最低だ。本当にごめん」

 うつむくタツヤ。真木緒は涙をぬぐって、性器をデニムの上から撫でた。そして耳元で囁く。 

「ううん、もういい……ねぇ、いっぱい出されたから、たっちゃんので綺麗にして……」




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