亮がにやりと笑った。一回前立腺を突いてから、抜く。もう一度、深く突く。真木緒の勃ちあがった性器から、ピュッと精液が漏れた。トコロテン射精しながら、括約筋を締める。まるで、ナカだしのおねだりのよう。
 もっと気持ちのいいことをしてほしい、ぐちゃぐちゃにかき回してほしい、体内に精液を吐き出してほしい。快楽に素直なカラダは、心とは裏腹に亮と一緒にイキたがっていた。
 タツヤは何も言わなかった。亮は枕に置いたスマホを手に持って、今度は結合部や性器を撮り始めた。通話はそのままなので、おそらく亮と真木緒の声は聞こえているだろう。

「ねぇ、真木緒くん。タツヤとできなかったら、俺の所に来てよ。俺、好きなやついるから付き合えないけど、身体だけは満足させてあげる」
「あぁ、あああっ、そ、そんなの、だめ……だめ、だめぇ……」
「……口ではだめって言ってるくせに、すっげえ搾り取るじゃん。うそつき」

 ばちっ、ばちっ、とお尻を思いっきり叩かれる。いくつもの手形が白いお尻を桃色に染める。痛いのに、小さい子がおしおきされているみたいでいやなのに。真木緒は強く締めつけて、亮の性器を括約筋で扱く。腰を振って、おねだりする。

「欲しい時にいつでも精液恵んであげる。ぶっ濃い精液、コキ捨ててあげるからね、真木緒くん!」
「あっ、ああああっ! ぼく、たっちゃんの、たっちゃんだけなのに……りょうくんのせーえき捨て場になっちゃうぅうう!」

 嫌なのに、気持ち悪いのに、大好きなのはタツヤだけのはずなのに。真木緒のカラダは喜んでいた。精嚢と前立腺を同時に刺激される。太い性器で圧力をかけられながら、激しく行われるロングストローク。腸壁がめちゃくちゃに弄ばれる。

「じゃあ、タツヤに向かって…………って言って」
「あっ、あっ、たっちゃん! ヤリチンの、使い込んだ黒焼けちんぽでぇ……ぼくの、お、お、おまんこ……オナティッシュにされちゃいますっ!」

 顎を強く掴まれて、スマホ越しにタツヤに向かってとろけた顔を晒す。舌を出して、今までの人生で言った事もないような卑猥な言葉を、唾液と共に吐き出す。

『ま、真木緒……俺の真木緒が……くそっ』
「たっちゃん! ぼくでいっぱいシコってぇ……シコシコしてぇ……あ、で、でもぉ……この後たっちゃんとえっちしたい……射精しないで、ちんちんだけしゅっしゅしてて?」

 精嚢と前立腺を同時に刺激されることによる、痙攣を伴うおもらしのような射精。精液を気持ちよくドピュドピュと吐き出しながら、真木緒はひどいことを言う。

『うっ、真木緒……やばい。我慢するのきつい。早く帰ってきて……おねがい』
「あっ、あっ、あっ、でもっ、亮くんが離してくれないのぉ! あんっ、あんっ!」

 体勢を少し変えて、仰向けに寝転がる亮の上に真木緒はまたがっていた。自分から大きく足を開き、根元まで性器を咥えこむ。タツヤとは一回もしたことのない騎乗位で、激しく腰を揺すってあんあんと甘い声を上げる。

「いい! いっぱい突き上げてっ! こすれるっ、こすれるよぉ……!」
「真木緒くんのナカ、すっげぇ……タツヤ、最後にしたのいつ?」
『……三ヶ月前』
「三ヶ月もこんなカラダ放っておいたの? もったいねぇ」

 亮が結合部をアップにして映す。ぐちゅぐちゅにとろけて真っ赤に充血したそこに、赤黒い性器が飲み込まれて出し入れされる。ぶぴゅ、ぐちゅ、と汚い水音がはっきりとタツヤに届く。

「あん、ああん! イク、イクイク、イッちゃうっ!」

 少しぽっちゃりとしたお腹を、ふんわりと膨らんだ胸を、ムチムチとしたお尻を激しく振る。彼氏に見せた事もないようなだらしない顔。上下に動くたびにぷるぷると揺れる性器からは絶えず水っぽい精液が漏れていた。

「あっ、あーっ! イッちゃう……たっちゃん、見てぇ……ぼくのえっちなところ、いっぱい見てぇ……!」

 何回も何回も真木緒はナカでイッていた。それがはっきりと分かる。タツヤが初めて見る真木緒だった。


 タツヤが十歳の頃、建売住宅の隣家が売れて家族が引っ越してきた。その時、真木緒は四歳。それから十五年間、ずっと幼馴染。おおきくなったらたっちゃんとけっこんする。小さな子どもが訳も分からずに言って差し出してきたおもちゃの指輪。
 柔らかな頬、さらさらの髪の毛、ぷにぷにのおなか。お昼寝で膨らむ可愛いほっぺたにそっとキスをした。その時から、ずっと、ずっとタツヤは真木緒のことが好きだった。
 もらった指輪はもうぼろぼろになっているけれど、今も机の引き出しの中。いつか宝石でできた本物の指輪を渡したい。自分の気持ちを伝えたい。
 しかしタツヤは真木緒が十八歳になるまで待った。ずっと、大人になるまで待っていた。気持ちを自覚してから恋人同士になってキスをするまで、十年以上かかった。

「あぁ、あっ……キスは、だめ……たっちゃんだけだから……んぅ」
「いいじゃん。ほら、舌出して」
「だめ、だめ……んっ、んちゅ、んぅう……はっ、はっ、はぁ……はぁっ」

 定点カメラで映し出されるのは、正常位で抱き合う二人。仲の良い友達と大好きなあの子が、舌を絡めている所。
 真木緒が大人になるまで大事に守っていたキスを、ポッと出の男がいとも簡単に奪っていく。下品に舌を絡めて吸って、べろべろと舐め合っている。
 真っ白でぷにぷにの真木緒の足が、綺麗に筋肉のついた亮の腰に巻きつく。首に両手を回して、強い力で抱きついているのが画面ごしなのに分かる。
 柔らかな唇を吸いながら、腰を動かす。キスをしながら真木緒のナカに性器を出し入れしている。
 真っ暗な部屋。スマホを見ながらタツヤはぶるぶると震えていた。怒り、悲しみ、後悔……それらを全部塗りつぶす、興奮。


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