えっと、脇役です
どうも、お久しぶりです。
脇役のいろはです。
そうですね、学園は辞めました。
そして、嫁ぎました。
モブタケ城の若様との見合いは、一目で気に入られました。
若様は「この凡愚な感じがいいね〜」と、なんとも失礼な発言をされ、数日後に実家に地図を送ってきました。
内容は“妻と認める。我が城へ来られたし”と、迎えは無しだそうです。
城へ着いてから、侍女の方に着物を着付けて貰っていると、歩いて来た事に驚いていました。
一夫多妻である若様の奥方の内、一人で歩いて来たのは私だけだそうです。他の方達は、輿や駕籠に乗ってここまで来たそうです。
まあ、脇役の特権ですかね。
侍女の方が去り、部屋で座っていると、天井から矢羽根が聞こえてきました。
「(いろはちゃんやっほー)」
雑渡さんのようです。
「(その着物似合ってるよ)」
『(暗殺の件ですか)』
「(話も聞いてくれない)」
矢羽根が聞こえるまで、雑渡さんの気配は全くわからなかった。変な人だが、忍としては一流のようだ。
「(あのね、約ひと月後にこの城を攻めるよ)」
くの一としての、初任務ということか。
「(タソガレドキ軍がかく乱している間に、若様と城主を殺っちゃってくれる?)」
『(わかりました)』
「(あ、そうだ)」
去り際の雑渡さんが、今思い出したような言い方をしているが、実にわざとらしい。
「(ちなみにね、タソガレドキ忍者隊専用の矢羽根があるから覚えてねー)」
とりあえず、今は聞きたくなかった。
(何故か平凡が遠退く今日この頃)
- 3/21 -
prev|next
back