極秘任務ってあんた




 
 
 
「秘密の任務だよ」





そう言われたのは、少し前。





「じゃあ、よろしくね」





そう言われてタソガレドキを出発したのが、つい先程。





「おやお嬢ちゃん、なかなかお目が高いじゃないか!」





そう言う店主からお饅頭を買っているのが、たった今。





昼休憩をのんびり過ごしていたら、雑渡さんから緊急の任務を言い渡された。



指定されたとある城下町の、とある有名な甘味屋でお饅頭を購入するという任務だ。



あんな人でも忍組頭なので言わなかったが、これ任務じゃなくてただの使いっ走りだろ。



とりあえず、任務は遂行しよう。



買ったお饅頭を手に、タソガレドキへと帰還する。何だこの任務、普通の休日じゃないか。



「あ、いろはちゃんおかえりー。待ってたよー」



雑渡さんが任務で購入したお饅頭を受け取り、にっこりと微笑む。



『任務完了です。タソガレドキ忍者隊の誰にも知られずに遂行しました』

「うんうん、上出来上出来!これで秘密の任務は終わりだよ。後は私が引き継ぐから」



雑渡さんはお饅頭を一つ私に渡すと、残りを抱えてシュンッと飛び去った。



……それにしても、不思議な任務でした。



とにかく任務は終わりましたし、次の任務がくるまで忍具のお手入れでもしましょうか。



「あ、いろは。組頭を見なかったか?」



いざ忍具の手入れをしようとした時、先輩である諸泉さんが現れる。



『雑渡さんなら秘密の任務に行かれました』

「……秘密の、任務?」



諸泉さんが、皿に乗せたお饅頭をチラリと見る。



「それは、組頭から?」

『ええ、そうですが」



諸泉さんは確信した表情で、私に向き直る。



「わかった。いろは、組頭を迎えに行くぞ」

『………え?』











(場所をご存知なんですか?)
(組頭が饅頭を持って
こっそり行く所は決まってる)
(……ああ、なるほど)



 




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