閑話2




 
 
 
僕は、カリスマ髪結い(仮)の斉藤タカ丸。



僕の目標は、父さんみたいなカリスマ髪結いになることと、立派な忍者になることだ。



そんな僕が、今夢中になっていることがある。



それは、最後の一人を見つけることである。



なんの最後の一人かというと、



「タカ丸さん見っけー!!」
「タカ丸さん髪結ってぇ!!」
「きゃーっタカ丸さーん!!」



わっ、見つかっちゃった!



自分で言うのもなんだけど、家が髪結いってわけあって、女の子たちにいつも追いかけられている。



実を言うと、授業のマラソンよりきつい。女の子だけど、くの一のたまごだから体力があり過ぎるのだ。



「………ま、まけたかな?」



そろりと、隠れていた木から顔を出すが、近くにくのたまの子たちは見当たらない。



ふう、走り疲れちゃったからもう少し休もうかな。



けどこんな風に、徐々にくのたまの子たちから逃げ切れるようになっているので、僕も成長しているんだと思ってみるのでした。まる。



…………、




あれ、なんの話だっけ?



あ、そうそう!最後の一人だ!



その最後の一人というのは、くのたまの子なんだけど……



その子だけ、髪を結ったことがないのだ。



遠目に見たことしかないけれど、なかなか綺麗な黒髪だった。



しかし、あの髪はお手入れがあと一つたりない感じだ。言うなれば、磨けば光る原石なのだ。



そんな髪を放っておけるほど、僕は甘くない!絶対見つけて、ツヤッツヤのサラッサラにしてみせる!!



「あ!タカ丸だ!」

「わわっ、あ、なんだ君か〜」



突然声を掛けられて驚くが、声の主は、つい最近までの男装していた彼女だった。



天女様の件があってから、男の振りはしなくなったようだ。まだ忍たまの忍装束ままだけどね。


 
天女様はいつの間にか消えちゃったし、彼女は六年生たちとも仲直りしたみたいだし、忍術学園は元通りになった。



そういえば、最後の一人探しに夢中になる前は、彼女の髪を結いたくて仕方なかったような気がする。



そこまでそそられるような髪質じゃないのに、なんでだろ?まぁいっか。



余談だけど、彼女、女の子なのにとっても強いんだよ。



武闘派の潮江君や食満君、暴君って呼ばれてる七松君も勝てないんだって。すごいなぁ、憧れちゃうや。



「ねぇねぇタカ丸!明日私の髪結ってくれない?伊作たちと町に行くんだー」

「うんいいよ〜」



彼女より最後の一人の髪を結ってみたいなー、なんちゃって。もちろん明日はちゃんと結うよ。



彼女は、ご満悦の様子で走り去って行った。



元通りの忍術学園、なんだけどなぁ……。



何か、違うような違わないような……。



あ、あれは竹谷君。



あ の 髪 の 毛 !!



またお手入れサボってる!!竹谷君は髪の毛が末期なのにっ!!



僕は、チャキンッと鋏を構えた。











消えぬ違和感
(竹谷君!髪の毛ぇぇぇええ!!)
(へ?うぎゃぁぁぁぁぁっ!!)



 




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