ぎゃくはーって何語だよ
「ちょっといい加減にしてよ!男装主なら男装主らしくおとなしくしててよね!」
「フン、天女なんてバッドエンドまっしぐらじゃない。アンタこそおとなしくしとくべきじゃないの?」
おっと、何事か。
今日こそ本を借りようと、図書室に向かったのはついさっき。
丁度当番だった不破君に、新刊が入ったという情報を聞き、少しウキウキ気分でくのたま長屋に戻っていた時だった。
お馴染みであるバレバレな男装の先輩と、今や学園の頂点に君臨する自称天女様が言い争っていた。
バレバレな男装の先輩に関しては女丸出しで、自称天女様も猫を被り忘れている。
うーん、その道を通りたいんですけど……
「なっ何ですって?!あたしがバッドエンドになるワケ……って、あんたまさか、転生主?」
「それがどうしたの?言っとくけど、くのたまは私の味方だし、傍観主だっているのよ。さっさと天に帰れば?」
「傍観主?あの上級生のコト言ってんの?」
「そうよ、落乱にはくのたまに上級生なんていないもの。あの子が指揮して天女討伐オチよ」
「ただのモブでしょ?それより五年生をあたしに渡しなさいよ!ヒロインはあたし一人でいいの!」
……………、
もしかして、私の事を言っているのだろうか。
よくわからない単語が飛び交っているが、とっとと退散した方が良さそうだ。
やだな、ここを通らなきゃ長屋まで遠回りになっちゃうのに。
「そっちこそ六年生を返しなさいよ!逆ハー補正がなかったら天女なんて怪しい奴とっくに追い出されてるんだから!」
「アンタだって逆ハー補正でしょ?男装してるなら逆ハー補正なんて付けて貰ってんじゃないわよ!」
「逆ハー補正なんて必要ないわ!私は愛され設定だもの、補正じゃないの!」
未だに言い争う二人を横目に、私は今来た道を戻った。
(図書室で本読もうかな、)
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