一年は組出撃!(5/6)




 
 
 
「また始まったねちゃったね」

「そうだねー」



団蔵と伊助がのほほんと呟いた。



ついさっき僕たち一年は組は、全員で天女様へ初の顔合わせをするために会いに行った。



今回の天女課題は、取り入り組と警戒組、そして僕たち傍観組の三つのグループに分かれて行うらしい。



そして、傍観組の僕たちは、とりあえず“見る”のが担当だと言われた。



直接天女様に関わらないでいいのはありがたいが、取り入り組の乱太郎たちには申し訳ない気分だ。



「ねぇ三次郎、委員会に先輩たち来てる?」

「うん」



そうなのだ。



“今は”天女様の被害はない。



つまり、もう天女様は脅威ではない。僕たちや先輩たちの課題点的な存在なのだ。



ただ、僕はひとつだけ気になることを見つけた。



初めての傍観という役割で、じっくり観察して気づけたので、もし他のグループだったら気づけなかったかもしれない。



「きっと今回も早く終わるよね」

「うんうん!それまでがんばろ!」



のん気に会話をしている団蔵と伊助を横目に、天女様が去った方へ目を向けた。



「………」



天女様の去った方へついて行くかのような、宙に蠢くもやもやとした“ナニか”。



そのもやもやは、天女様の視線の先に必ずあるのだ。



…………



父が山伏をしている事もあり、僕も“そっち系”の修行は多少している。



しかし、だからといって何かが出来るわけでもない。



そんな環境にいたから、他の人より少しは敏感なだけ。



だから、もしかして、



「………見えてるのかな」

「?何か言った?」

「ううん!何でもない!」



……なんて、僕の考えすぎかな?



 








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