一年は組出撃!(3/6)




 
 
 
「おい喜三太、大丈夫か?」

「……うん、ぼくは平気」



やっぱり天女は天女なんだ。



乱太郎たちは優しいから「もしかしたらいい天女様かもしれないよ!」と毎回天女の肩をもつ。



天女にいい天女がいるわけがないんだ。そんなの今までやって来た天女たちを見てればわかるはずなのに。



そういうおれも、本当は少しだけ期待している。



もしかしたら今回は本当の天女様で、もう偽物の天女が来ないようにしてくれるんじゃないかって。



先生とか先輩たちは割り切ってるつもりみたいだけど、天女に執着するなら結局“あの時”と変わらないじゃないか。



……もう天女サマなんか来なくていいよ。



「……きり丸、大丈夫?」



乱太郎が、心配そうにおれを見つめている。



「天女さまなんて先輩たちがすぐに天に帰してくれるよ!」



前向きな考えのしんべヱ。



こんなひねくれた考えをしているのは、きっとおれだけだ。



でも今では天女に惑わされる先輩はいない。



きっと今回も大丈夫だ。



あとちょっと我慢すれば、またいつも通りの忍術学園に戻るんだ。



そう思い込んで、しんべヱに「そうだよな」と笑い返した。



 








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