一年は組出撃!(2/6)
「ナメクジさんは好きですか?」
逃げきれませんでした。
「ナメクジさんは好きですか?」
そして、質問のチョイスが意味不明なんだが。なんでナメクジが好きかなんて聞くの?なんで数多の生き物の中でナメクジをチョイスしたの?確かにもうすぐナメクジいっぱいの時期になるけども。
『な、ナメクジは、普通です』
別に嫌いというほど嫌いではないが、好きというほど好きでもない。寧ろ、いつでも倒せる相手である。だって私には塩があるから。
「ほんとですかぁ!……でもおかしいなぁ、ナメクジさんたちが怖がってる」
「喜三太、どうしたの?」
「あ、乱太郎。なんかナメクジさんたちがおかしいんだよ。天女様はナメクジさんたちを嫌いじゃないって言ったのに怯えてて……」
「そりゃ相手が天女様だし」
「きり丸!しーっ、だよ!」
眼鏡の忍たまと首にスカーフを巻いた忍たまがこそこそと話しているが、丸聞こえである。地味なブスにはナメクジも寄ってこないってか。そうですかそりゃすいませんでした。
「え、ちょっとまって、て、天女様、それ、お塩じゃあ……」
ナメクジの質問をしてきた忍たまが、恐る恐る私の袖についていた塩を指差した。
『はい。塩は常に常備していますけど何か』
その瞬間、ナメクジの質問をした子どもの顔が一気に青ざめる。
え、何、どうしたの。
「や、や、」
や?
「やっぱり天女様は天女様なんだぁぁぁぁうわぁぁぁぁぁん!!!!」
「喜三太!!」
「天女様ひどい!!」
「やっぱりお前も天女だ!!」
ギリギリぽっちゃり系の子どもとつり目で八重歯の子どもに何故か怒鳴られ、バタバタと走り去る子どもたちを眺めながら思った。
一体、何なんだ。
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