媚びよ、上級生!(6/9)
善法寺 伊作の場合。
「あっ!天女さ」
『?』
あれ?今呼ばれたような気がしたんだけど、気のせいか。
というか、あの小松田さんって人マジ何とかならないの?「掃き終わったゴミは、この袋に入れて僕に渡してくださいねぇ〜」とか言う割に、渡したその袋ぶちまけてくれるんだから。
もうあの人にゴミ袋は渡さねぇよ。一日に何回庭掃除しなきゃならないんだ。あの人に渡すくらいなら自分で持って行くわ。
小松田さんとかいう人曰わく、この辺りに庭掃除したゴミを入れる穴があるって言ってたんだけど……
ないじゃん。穴。
あれ、あるじゃん。穴。
おかしいな、さっきは穴なんかなかったと思うんだけど。
ま、いいか。
私は、ゴミ袋に入れていたゴミを穴の中へ流し込んだ。
よし、掃除終了。
* * *
ふ、不運だ………。
天女様に話かけようとしたら、綾部が掘ったであろう落とし穴に落ちた。もう泣きたい。
まだ一言も会話しないまま穴に落ちてしまった。もう泣きたい。
穴の底で正座で座り、己の不運過ぎる不運に涙が出そうになっていたら上から大量の落ち葉などが降ってきた。もう本当泣きたい。
え、逢瀬のお誘い?
あ、もういいんですどうせ僕不運ですし。
え、作文?
あ、それももういいんですどうせ僕不運ですし。
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