媚びよ、上級生!(8/9)




 
 
 
はあ、疲れた。



ここ数日、私の担当とかいう竹谷さん達だけじゃなく、緑色の忍者の人達との遭遇率も高い。



危険日でも何でもないのに、何故こんなに疲れないといけないんだ。もうホント私のことは放っておけよ、霊共に毎日罵声を浴びてんだからお前らの話なんて聞く暇ないんだよ!特に貧乳とか言ってくれる霊には塩投げてやらないといけないんだから!



「あ、いたいた天女様〜!」



ウソだろまた来た。



今日は来ないと思ったのに。もしかしてもうすぐ危険日だから不運が働き始めているのだろうか。勘弁してくれ。



「僕は斉藤タカ丸……って、天女様っ!!!?なっなななななな何その髪っ!!!」

『痛ああああっ!!』



ちょ、何こいつ!!!



何でいきなり私の髪の毛引っ張ってんの?!頭おかしいんじゃないの?!



「君女の子でしょ!!一体今まで何してたの!!」

『ちょ痛い痛い痛い』

「痛いじゃないよ!!」

『いや痛いよ!!』



意味わかんねぇよ!!痛いもんは痛いんだよお前はバカか!!?まずこの私の髪の毛を引っ張っている手を放せボケェ!!



「信じられない!!何この髪の毛!!女の子なのに土井先生と竹谷君寄りの髪の毛だ!!信じられない!!」

『ちょ痛い痛い髪の毛引っ張ってるの知ってる?ものっすごい引っ張ってんですけど知ってます?』

「え、何これ、え、塩?」

『ねぇ聞いてます?』

「嘘でしょ嘘でしょ嘘でしょォォォォォオオオオアアア゛!!!!!」

『ぎゃああああこわいこわいこわい!!』



何だこの人ぉぉぉ!!



こわいこわいこわい!!!



ちょっと怖過ぎて意味がわからない!!髪の毛持ったまま仰け反って発狂してるこわいこの忍者こわい!!



何で髪の毛で発狂してんの?いくら“髪の毛が好き”なんて変態思考持っててもおかしいだろォォ!!待てよ、確かこの人よりは控え目だったけど、前にショッピングモールでも髪がどうのこうのって事があったような。


 
あ、そうそう。あの日はあまりにも漏れそうになって、丁度近くにあったショッピングモールに入った時の事だ。急いで一番近いトイレに行ったが、清掃中。三階まで行っても清掃中と故障中ばかりでそろそろ膀胱が悟りを開く直前、唯一行ってない地下駐車場のトイレにダッシュした。幾ら不運が働いてるっていっても、トイレがこんなに使えなかったら店的にどうなの?みんな漏らすだろ!!



何とか地下駐車場のトイレに行き着いた私は、つい立ち止まった。手前の個室は故障中、真ん中の個室は使用中、奥の個室のみ空いてる。明らかに怪しい。明らかに怪しいけれど私の膀胱はそれどころじゃない。明らかに人の気配はないがそれどころじゃない。とにかく奥の個室に駆け込み、私の膀胱は一件落着。もうトイレに用はなくなり手を洗っていると、真ん中の個室からか細い声で「かみを……ください」と言ってきた。



この人トイレ入る前にペーパー確認しなかったのかバカじゃないの。



とりあえず、トイレットペーパーがないからずっと静かに籠もっていたらしい彼女に「上から投げますね」とトイレットペーパーを一個放り投げた。これで用がなくなったのでトイレを出ようとしたが、またか細い声で「違います……この紙じゃないんです……」と言われたがスルーさせて貰った。自分の尻を拭く紙はトイレットペーパー以外ないだろ。まさかもっと良質なトイレットペーパーをよこせって事か?贅沢言うな。



さっさとトイレから出たら「お前の髪だああぁぁ……」とか何とか聞こえたような聞こえなかったような、まぁいっか。



みたいな事があった気がする。あれ、よく考えたら髪の毛の髪じゃなくてトイレットペーパーの紙の方だったははは。



そんな事より、もう去っていいかないいよね。こんな変な忍者に関わりたくないしもう去ります。ちょっと髪の毛掴んでる手が緩んでるみたいだから、今の内にダッシュで逃げようそうしよう。












媚びよ、上級生!


(ちょっと天女様!逃げないの!)
(ぎゃああああバレたあああ!)


媚びるつもりが悪役に認識される



 








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